生き物・学び・研究センターブログ

2021年5月20日(木)テナガザルの不思議

前回のブログでもお知らせしたように,休園期間中にテナガザルとマンドリルの「お勉強」の頻度を増やしています。
5月1日 (土)「テナガザルのお勉強について」
4月28日 (水)「テナガザルのお勉強」

ところで,テナガザルの放飼場にはシロマティーだけでなくクロマティ―も一緒に暮らしています。シロマティーが勉強をしていると,時々ふらりとクロマティ―がやってきます。

そんなとき,シロマティーは席をゆずるように,場所を移動します。

モニターの問題には目もくれず,「ちょうだい」とシロマティーにあげていたごほうびのリンゴ片を要求するクロマティ―。

リンゴ片をあげないといつまでも居座って動いてくれないクロマティ―ですが,あげたらあげたで味を占めて動いてくれません(困った)。

しかたないので,いくつかあげたら,「もうおしまい」の意味でリンゴを入れている容器を隠すのですが,しばらくすると動いてくれます。

「お勉強」を始めて12年になりますが,クロマティ―はついにタッチモニターにさわったら「いいこと」が起こる,ということを学習してくれませんでした。
この間,いろんなやり方でモニターに手を触れてくれるように誘導しようとしましたが,うまくいきませんでした。彼女にとっては,いつまでたっても「黒い壁」のままのようです。

そして,席が空くとシロマティーが戻ってきて,勉強再開。

昨年,勉強の機会がすっかり減ってしまったので,勉強して覚えたことを忘れてしまったんじゃないかと心配しましたが,意外なくらい以前と成績が変わりませんでした。

そして,もっと不思議だったのが,問題が難しくても易しくても成績があまり変わらなかったこと。

シロマティーにとっては難しい1から9までの問題でも,易しいはずの1から7の問題でも,正解率が変わらないようなのです(だいたい50%前後)。
もう少し,回数を増やして成績を見てみたいと思います。


田中正之