生き物・学び・研究センターブログ
2021年5月1日(土)テナガザルのお勉強について
前回,お知らせした「テナガザルのお勉強」のつづきです。
シロマティーが勉強のモニターの前に来てくれました。
(前回より,画質はいいはず!)
フォトジェニックなクロマティーが正面に来てくれたのでついでに撮影。
さて,ここで「テナガザルのお勉強」について,あらためて説明します。
「お勉強」は,2008年4月から始めました。
テナガザル2個体のうち,シロマティーだけが参加してくれています。
この間,一緒に暮らしているクロマティ-は,モニターの前に来てくれることはあるものの,タッチモニターには触ってくれません。12年間も!(涙)
シロマティーが問題を解いている様子は見ているようなのですが,彼女にとってはタッチモニターは黒い壁でしかないようです。。。
お勉強の参加者は,ごほうびとしてリンゴ片(5ミリから1センチ程度に角切りにしたもの)をもらうことができます。
その方法は,2つ。
ひとつ目,モニターに出される数字を順番にさわっていく問題に正解すること。正解すると,すぐに参加者に与えられます。
もともとは,ごほうびがもらえるのはこのときだけだったのですが,やっていくうちにもう一つのやり方が加わりました。
ふたつ目,「ふーっ」という発声を5回繰り返すこと。
この発声はシロマティーの「口ぐせ」のようなもので,ごほうびがほしい(でも問題に正解しない)ときによく鳴いていました。
はじめは厳しくしていたのですが,ごほうびをあげないと,いつまでも鳴き続けていたので,こちらが根負け。ただし,5回続けて鳴いたときに,ひとつリンゴ片をあげることにしました。
「え!? そんなことしたら,問題をせずにずっと鳴いているんじゃ?」
と思われる方もいると思いますが,シロマティーはこれで勉強を続けてきたのです。
理由としては,
勉強を始めたての頃,数字はまだ1つ(1だけ)か2つ(1,2)だったので,問題を解いた方が早くもらえたことが考えらます。
とりあえず問題にチャレンジして,間違えたら,5回鳴いて,ごほうびをもらう。
賢いシロマティーは,こういう戦略を立てたようです。
そうやって,シロマティーは,1,2の順番を覚えて,1,2,3の順番を覚えて,,,,とゆっくりですが数字を覚えていきました。そして今は9までの数字の勉強をしているのです。
ですが,9まで数字が増えた後,成績はいっこうに上がらなくなりました。
なんと2013年6月から,1から9までの問題を続けています!
そのうち,徐々に参加してくれる頻度が少なくなっていったことと(やる気がなくなってきた?),シロマティー自身が歳をとってきたこと(シロマティーは今年4月で38歳になりました!),その両方の影響だと思われます。
それでも,まったくしなくなることはなく,細々と続けてきました。
最近は,いつまでやる気が持続するのか,認知機能が低下して成績が下がってくる段階をとらえられるか,といったところに興味が変わってきましたが,まだまだシロマティーとは付き合っていきたいと思います。
すぐやる気がなくなって,席を立つシロマティー
田中正之