生き物・学び・研究センターブログ

2021年7月6日(火)コイコとニイニ

チンパンジーのコイコとニイニは,親子(母親と息子)です。
ニイニは8歳とまもなく5か月。思春期真っただ中で,オスとして力を見せつける行動が目につくようになってきました。
その分,母親といっしょにいる時間は少なくなっています。

これは7月4日の朝の「お勉強」時間のお話。

この日は,ジェームスが勉強部屋に来なかった日で,ジェームスがいつも座っていた真ん中のモニターに,ニイニが座っていました。
最近,ニイニは落ち着きがなく,勉強時間中も途中で立ち上がって出て行ったかと思ったら,また戻ってくるということがしばしばで,右の問題が出たままになっているモニターも,ニイニがやりかけで放り出したものです。
左のモニターでは,コイコが勉強をしていて,珍しく母子が並んで勉強していました。

さて,そんなニイニ,なにやらお母さんのコイコの方を見ています。

コイコが正解すると,ニイニがさっと手を伸ばして,コイコがもらうはずのごほうびを取ってしまいました。

これは,他のチンパンジーだったら,ケンカになるようなことなのですが,小さい子どもの母親の間だと,許されます。
ニイニは,もう「小さく」はないのですが,コイコにとっては子どもにちがいないので,何も反応なく,ただ取られただけでした。

その後も,ニイニの横取りは続きました。
問題の途中でも,コイコのごほうびを横取り。

コイコも,体の向きを変えて,取られないようにするのですが,ニイニは大胆に手を入れて,持っていきます。

けっきょく,母親は子ども(とくに息子)に甘いということかもしれません。


田中正之