飼育員ブログブログ

2021年7月7日(水)いろんなことを教えてくれてありがとう

2021年7月5日,野鳥舎で暮らしていたケリが亡くなりました。
ケリは2016年に保護され本園にある野生鳥獣救護センターへ。そして,片目を失うケガをしていたことから野生復帰は難しいと判断し,野鳥舎へやってきました。

そして,以前ブログにも書きましたが(https://www5.city.kyoto.jp/zoo/enjoy/breeder-blog/diary/20210530-45105.html),今年の4月1日に野鳥舎内の枝に絡まり,左脚のかかとから下を失う大けがをしてしまいました。
片脚での生活は可能なのか,餌は食べられるのか…。たくさんの心配事がありましたが,ケリは逞しく,力強く,私の心配を払拭するように生きる姿を見せてくれました。
治療に関しては何度も悩むことがあり,そのたびに獣医の懸命な治療に支えられ,ケリは命の危機を乗り越えてきました。

(立つ練習中のケリ)

しかし,やはり片脚での生活で右脚への負担は大きかったのです。
5月末頃から右脚に趾瘤が出来てしまいました。
獣医によると,趾瘤は手術で取り除く治療をするのが一般的。しかし,片脚での生活の中で残った右脚の手術をするのはリスクが高いため,薬を患部に浸透させて炎症を和らげる治療をしてきました。
6月中旬,趾瘤がかさぶたが取れるようにきれいにはがれ,中の膿も出すことが出来ました。
趾瘤がとれたことはよかったのですが,この治療後右脚が痛むのかなかなか立たなくなってしまいました。
そして,私は趾瘤について,治療についてなどたくさんのことをケリに教えてもらいました。

それでも食欲は衰えることなく,時には私の手から大好きなエビを食べたり,治療の際には怒ったり。ここでもまた,ケリの逞しく生きる姿を見せてもらいました。

7月3日に急に容体が悪くなり,5日に亡くなったケリ。

京都市動物園では,亡くなった個体の死因の特定や今後の飼育管理に生かすために死亡後,個体の解剖をします。
私にとっては初めての野鳥の解剖でした。最後までいろんなことを教えてくれたケリに本当に感謝しています。

片目,片脚での生活でも,逞しく,力強く生きる姿を見て,いつも「私も頑張らなきゃ!」と思っていました。

一生懸命生きてくれてありがとう。
逞しく力強く生きる姿に勇気をもらいました。
そして,最後までいろいろ教えてくれてありがとう。
天国で大好きなエビをたくさん食べて元気に生活してね。

野鳥舎担当:櫻井