生き物・学び・研究センターブログ
2019年9月6日(金)国際学会に参加しました
2019年8月5日(月)~9日(金)にノルウェーのベルゲンで行われたInternational Society of Applied Ethology(国際応用動物行動学会)第53回大会に参加しました。この学会は,ヒトと深く関わる動物を対象にした動物の行動を研究している人々が集まる学術団体で,一年に一回研究発表会を開催しています。
オープニングでバイオリンの生演奏!
会場近くにある,世界遺産にも登録されているブリッゲン(木造倉庫群)
今回の大会テーマは「Animal Lives Worth Living (動物が価値ある生活を送るために)」。
主に家畜を対象とした動物福祉研究が多かったですが,魚類の福祉や技術開発など,動物福祉の最新研究について勉強させていただきました。
会場近くのお城で行われたウェルカムレセプション
1日目に行われたワークショップは6種類に分かれており,トレーニングのセッションでは発表者(ベルゲン水族館のアシカトレーナー)の飼い犬が登場!実際のトレーニング方法を実践してみせてくれました。
口頭発表は二つの会場で行われ,すべての発表を聞くことはできませんでしたが,家畜やペット,実験動物など動物園動物以外の福祉について興味深く聞くことができました。
ポスター会場も廊下にも設置されており,ぎゅうぎゅうになりながら活発な議論がされていました。
複数あるポスター会場のひとつ(廊下)
私自身も今回ポスター発表をしてきました。他園のチンパンジーが対象でしたが,「Care and rehabilitation activities for a chimpanzee with cerebral palsy: a case study (脳性まひチンパンジーのケアとリハビリテーション:症例研究)」という内容です。今大会では主に家畜を対象としている研究者が多かったため,このような活動に対して珍しそうな反応をしていました。
最後の閉会式では,優秀発表者,今回の参加者,次回の会議などの情報が示されました。今回の大会では37の国から411名の参加があり,発表もすべて合わせて300題ほどあったそうです。
そして来年の大会について発表がありました。
次回は2020年8月3日~7日にインドのバンガロールでの開催です。紹介者が「バンガロールはノルウェーと違って気温が28~30度と暑いですが,ぜひお越しください。」と紹介した際に,一緒にいた日本人メンバーは(日本の方がもっと暑いぞ)と苦笑いでした・・・。
動物福祉発祥のヨーロッパで行われた本学会において多くの刺激を受けました。京都市動物園でもヤギやヒツジなどの家畜動物を飼育していますので,この機会に彼らの福祉に対する議論や,講演等の教育プログラムの充実などに還元できたらと思います。
夜10時頃の港。ノルウェーの昼は長かった・・・。
生き物・学び・研究センター
櫻庭 陽子