救護センターブログブログ
2019年10月26日(土)応急処置で助かる命もあります!
メジロを運んできた人に救護状況を尋ねていたら
驚くような言葉が返ってきました。
「木立の中に大きな窓があるので,小鳥がよくぶつかる」
「鳥の死骸があれば,野鳥の研究所に送っているので,
朝早くに落ちていたメジロが死んだら送ろうと思っていた」
「午後を過ぎても死ななかったので,救護センターに持ってきた」
複雑な気持ちでメジロを受け取りました。
この子を何としても助けたいと思いましたが,力及ばず
処置の最中に亡くなってしまいました。
もし倒れている鳥を見つけたら,救護センターにお問い合わせください。
(京都府では救護対象外の鳥獣を制定していますので,受け入れできない鳥もいます)
保護してすぐに救護センターに連れてきてもらえれば,
受付後ただちに治療に取り掛かれます。
運搬には,翼を広げられないぐらいの狭い箱が適しています。
箱がない場合は,紙の手提げでも代用できます。
水やエサは入れません。
運搬中に水がこぼれると,鳥が水に濡れて体温が奪われます。
ビニール袋に入れると,鳥の体が沈み込み,呼吸しにくくなることがありますので,
使わないでください。
また,手に持って運ぶと,人に捕まえられているストレスで,鳥は弱ります。
ご注意ください。
持ち込みが翌日になる場合は,できれば応急措置をお願いします。
鳥が人に捕まるときには,体の水分の10パーセントが失われていると言われています。
水分補給をすると,脱水症状が軽減します。
経口補水液や電解質スポーツドリンクでおこなうと,さらに効果的です。
くちばしの隙間に,しずくを垂らします。
スポイトがなくても,綿棒やお箸など棒状のもので代用できます。
鳥が水を飲んでいるときは,水が隙間にスーッと消えて中に入っていきます。
頭を振ってしずくを飛ばしたら,嫌がっているので,中止します。
決して無理に口を開けて水を飲ませないでください。
気管に入って誤嚥してしまいます。
鳥の体温は40度前後あり,触ると熱っぽく感じます。
そんな感じがしなければ,保護中の加温も必要になります。
段ボールの底にタオルを敷き,その下に使い捨てカイロを置きます。
段ボール箱の断面です。
カイロは全面に敷き詰めずに,温かい場所と常温の場所を作ります。
ペットボトルにお湯を入れ,タオルで巻いて湯たんぽのようにしても加温できます。
いずれの場合も,熱源が鳥に直接触れないようにしてください。
傷ついた鳥の命を救うには,初動対応が重要になってきます。
皆様のご協力をよろしくお願いします。
また,野鳥がよく窓にぶつかるのなら,カーテンをかけたり,すりガラスシートを貼ると,ガラスへの映り込み軽減の効果があります。
野鳥の衝突事故を未然に防ぐ対策もおこなってくださいますよう,お願いします。
野生鳥獣救護センター tel:075-771ー0210
救護センタースタッフ 吉川