救護センターブログブログ

2016年12月11日(日)BLACK KITE

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トビです。
上昇気流に乗って,輪を描きながら空を舞う姿は悠然としていて,
カッコいい鳥です。

『日本書紀』では,金色のトビ(金鵄:きんし)が神武天皇の戦勝に貢献したと記され,明治時代には一目置かれる存在でした。

しかし,猛禽の割には生きた動物を狩ることはあまりなく,
人に慣れたトビは,各地の植物園や河川敷でパンやソーセージをかっさらい,
お弁当ドロボーとして指名手配されているせいか,
格下の扱いをされています。

「トビも居ずまいからタカに見える」だの,「トビがタカを産む」だの,
散々な言われようです。トビもタカの仲間なのに…。

トビはカラス並みに雑食で,
スカベンジャーと呼ばれる腐肉食動物でもあります。
屍肉を食べるので,良いイメージがないのかもしれませんが,
生態系のサイクルの中で必要不可欠な掃除屋さんです。

このトビは,脱臼と骨折で救護センターに保護されました。
人でいうところの肘が脱臼していました。
患部を固定していた包帯が取れた後は,
ひたすらブロックの上に鎮座し,まったく飛ぶ気配がありません。
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ある朝,いつものブロックの上に姿が見えず,
死んでしまったのか,と不安になって見回したら
一番高い枝に止まっていました。

希望の光が差し込んだ瞬間でした。
風をはらんで空高くただよう黒い凧のように,
大空を飛べる日がまた来ますように。

      救護センタースタッフ 吉川