生き物・学び・研究センターブログ
2021年6月8日(火)チンパンジーの勉強部屋にて
チンパンジーの「お勉強」の時間は,勉強以外にも,いろいろ新しい取り組みをする時間に使ったりもするので,時にはいつもと違う条件(メンバーが一部抜けたり,隣の部屋で別な取り組みをやっていたり)になったりします。
チンパンジーたちは好奇心が旺盛ですが,その一方でとても怖がりでもあるので,いつもと違うというだけで,そわそわと落ち着かなくなる個体もいます。
ひとりの落ち着かなさは,他の個体にも伝わって,結局全体がそわそわとした空気になっていきます。
この日もそうでした。
この日は,いつも朝に一緒になるジェームスとニイニが抜けた状態で勉強時間が始まりました。
タカシ,コイコ,ローラ,ロジャーの4人がいたのですが,とくに母親のコイコは,ニイニがいないので落ち着きなく動き回っていました。
そんな中,とりあえずタカシがいつものように,勉強を始めました。
タカシが勉強を始めたのを見て,ローラがロジャーを抱いたまま近づいてきました。
母親から離れたとたんに,タカシを追いかけて遊び始めたロジャー。
ローラは,お気に入りの真ん中のモニターが空いていたので,勉強をやりたそうにしています。
ローラは群れの中でもいつも立場が弱いので,勉強に参加できないのですが,できないわけではありません。こんなチャンスを逃す手はないと,大急ぎでローラ用の問題を出します。
息子のロジャーのことも気にしながら,勉強するローラ。
当のロジャーの方は,母親のことはおかまいなしで,力いっぱいタカシと遊んでいました。
この後,ジェームスとニイニも加わり,それまで以上にわさわさと落ち着かない空気になったので,ローラの勉強は長くはできませんでしたが,たまにはいつもと違うのも,いつもと違うメンバーのパフォーマンスが見られるので,楽しみにしています。
田中正之