生き物・学び・研究センターブログ
2020年5月3日(日)チンパンジーの勉強の軌跡(その1)
新型コロナウィルス感染症の感染拡大防止のため,京都市動物園は4月7日から閉園しています。この措置は,5月末まで延長されます。
<ニュース>京都市動物園の閉園について
この措置は,動物園だけではなく,京都市が所管する施設に対して行われたものです。
本市所管施設等の休館・利用停止の期間延長について(京都市情報館のウェブページより)
御理解と御協力をよろしくお願いいたします。
このような状況下で,動物園は生き物を飼育管理しているため,職員全員が在宅ワークをすることはできません。しかし,外出自粛,交通機関の混雑抑制のため,最小限の職員数が出勤して仕事をしています。
4月23日のブログでチンパンジーの兄弟たちが「お勉強」している様子をお知らせしました。
「チンパンジーの兄弟」(生き物・学び・研究センターブログ)
が,これは4月21日の出来事で,これ以降はチンパンジーたちのお勉強はお休みしています。
彼らにとっても,「日常」が奪われたかたちですが,現在は「非常時」なので,我慢してもらうしかありません。
もっとも,チンパンジーの兄弟たちは,そんなことを気に病むでもなく,屋外の運動場で元気に遊び回ってました。
4月後半は少し肌寒い日もありましたが,すっかり暖かくなりました。
チンパンジーの運動場も新緑がきれいです。
(そのおかげで,どこにチンパンジーがいるかわかりにくいですが,奥の黄色の矢印で指したところにロジャーがいます)
元気に遊ぶチンパンジーの兄弟たちの様子をお楽しみにください。
最後の写真は遊び疲れてぐずりだしたロジャーを背中に乗っけて,ニイニが隣のグラウンドへ移って行くのを,心配したお母さんのローラが追いかけていくところです。
チンパンジーたちも,これまでと様子が変わったことには気がついているでしょう。
たくさんいた人間の姿がほとんど見られなくなったのだから。
しかし,「かつてあったもの」が無いことを悲しんだり落ち込んだりすることは,チンパンジーにはありません。彼らはあくまで,今置かれた状況で精いっぱい生きようとする生き物です。(チンパンジーに限らず,ほとんどの生き物がそうかもしれません。)
チンパンジーたち,みんな元気に過ごしていますので,安心してください。
チンパンジーたちのお勉強の様子が見られないのは残念ですが,この時間を使って,これまでの彼らの勉強のデータを過去からさかのぼって見直しているところです。
長くなってしまったので,(その2)でお話ししたいと思います。
ここまでで,チンパンジーの「こころ」について興味をもっていただいた方のために,参考になる本を紹介します。
「想像するちから ―チンパンジーが教えてくれた人間の心」 松沢哲郎 著,岩波書店(岩波書店のウェブサイトへリンクしています)
「いのちをつなぐ動物園」京都市動物園生き物・学び・研究センター(編)小さ子社 (小さ子社のウェブサイトにリンクしています)
とくに「身体障害を伴うチンパンジーの幸せとは?」(櫻庭陽子, p.122-136)が参考になると思います。
よろしければご参照ください。
田中正之