生き物・学び・研究センターブログ

2019年4月30日(火)何事もない風景

日本中で「平成最後の・・・」というタイトルの書き込みがあると思われる日,
京都市動物園のチンパンジーたちは,いつも通りの勉強時間を過ごしました。

9時に勉強が始まってすぐの勉強部屋。

右のモニターに向かっているのがニイニ,真ん中がジェームス,左のモニターに向かっているのがコイコです。

左端の画面に写っている影のようなものは,,,

順番待ちをしているタカシでした。

20分後

1枚目と違いがわかりますか?
真ん中の個体が,タカシに代わりました。ジェームスが勉強に飽きて席を立ったので,順番待ちをしていたタカシが入ったのです。

隣の部屋に行っていたジェームスが戻ってきました(中央,右側の個体)。

おなかに息子のロジャーを抱いています。
お母さんのローラ(中央左の個体)は,ロジャーを返してもらおうと追いかけてきました。

ぐるりと部屋をひと回りして,二人とも退場。

勉強時間の後半,9時45分ごろの様子。

また,まちがい探しのような写真ですが,中央のモニターに向かっているのがコイコ,左のモニターに向かっているのがローラに代わりました。一番左端で切れているのは,ローラについて回っているジェームスです。
右のモニターに向かうニイニは,今日の成績がよいこともあって,中座することなく勉強を続けています。

さて,ローラが向かっている画面を反対側から見てみると,

ロジャーが画面に手を伸ばしていました。


まだ数字の見分けができるわけではないので,お母さんの問題に手を出して,間違ってくれています。
そんなとき,チンパンジーのお母さんは,手を止めて子どものしたいようにさせてあげます。


かわいいロジャー君と,お母さんと,お父さん。(左から順に)

こちらでは,ちょっと席を空けた隙に,タカシに席を取られて,すねるニイニ。

「フィンパー(Whimper)」という子どもの鳴き声を発してタカシにプレッシャーを与え,
それに耐えられなくなったタカシは,この後席を立って隣の部屋に移りました。

こんな風に,「平成最後の」チンパンジーのお勉強時間は終わりました。
もっとも,彼らにとっては,年号が変わることなど知らぬことで,今日はいつもの一日でしかありません。
人間たちが騒いでるのを知らぬ顔で,今日も暗くなったら眠りにつき,また明日いつもと同じ朝を迎えることと思います。
これからも彼らが幸せな日常を送れますように(祈)。


田中正之