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2024年10月15日(火)類人猿舎の歴史3~竣工~

 設計は昭和41(1966)年から京都市長期計画開発企画の委員を委嘱されていた京都出身の建築家である沖種郎氏によるものです。


 建設場所は野外演芸場の跡地で、昭和43(1968)年度、44(1969)年度にわたる継続事業として、鉄筋コンクリート平屋建ての、わが国では初めての鉄柵のない水堀方式を採用した放飼場を備える類人猿舎で、注目を集めました。
 昭和44(1969)年の完成の際には、以下のパンフレットも製作されています。


 竣工後、引っ越したのは3種6頭です。次回は移動と式典の様子をお伝えしようと思います。

職員が水堀におりるための階段も整備されています。

1段目の鉄パイプの上に張られているのは電気柵です。

 なお、設計段階から危惧し、対策がされていましたが、竣工から6年後に溺死事故が起きてしまったことは、大変残念でなりません。対策として設けた2段階の水堀は、深い所で水深2.1m、堀巾5mありました。            


 グラウンドの隔壁は最高3.7mで設計されていました。ただし、昭和52(1977)年に当時飼育していたチンパンジーのタロー(オス)が屋上部分に登った後に戻るという脱走事例が記録されています。
 類人猿舎は2024年12月で竣工から55年となりますが、現在の姿になるまでに、3度の改修工事を行っておりますので、別の機会にまとめたいと思います。

 なお、現在行っているクラウドファンディングで、「さよなら類人猿舎ツアー」を返礼としてご用意しております。ご興味のある方は、ぜひチェックして下さい。
 園長 和田