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2021年7月19日(月)獣医室だより122 アジアゾウのボディ・コンディション・スコアリング

ボディ・コンディション・スコアリング(BCS)とは,外見の特徴から個体の脂肪蓄積具合を数値化する手法です。
ウシやヤギ等の産業動物で肥育の状況を把握したり,イヌ・ネコ等ペットで健康状態を判断するために使われます。
測定者の主観が入るデメリットはありますが,採血のような医療行為を行う必要がなく特別な道具も必要ないので,定期的な健康チェックを行う上でとても便利です。

さて,このBCS,実はアジアゾウにもあったりします。
この日は夏美ブンニュンのスコアリングの日でした。

例えば側頭部のへこみ。
ブンニュンの場合は,わずかに凹んでいますね。

横からは,肩甲骨の棘突起が視認できるか,肋骨が視認できるか,骨盤の頭側が外に張り出すかなどを確認します。
また,脇の下をつまんだり胸の前から胸骨を触ったりして,脂肪の蓄積を確認します。

尾に脂肪が付着して骨ばっていないか,も判断基準の一つ。
この日の判定ではスコアリング14でした。
16点満点で,11以上は「とても良い~太りすぎ」に分類されます。

アジアゾウのBCSには広く認められたゴールデン・スタンダードがあるわけではありません。
当園でも,このスコアリングの他にもう一つ別の評価方法を併用し,把握漏れがないよう気を付けています。
スコアリングの実施は概ね6月,9月,12月,3月下旬の夕方。
もしゾウ舎で職員がゾウの脇をつまんでいたら,健康チェックを行っているんだな,と思ってください。

土佐