2021年4月3日（土）獣医室だより107　ヨツユビハリネズミのがん

先日無事にアニマル園長の引継ぎを終えたヨツユビハリネズミのウミ。
担当獣医師にとっては，昨年度印象深い1頭となりました。
任期中に，腫瘍摘出を行ったからです。

ヨツユビハリネズミの非感染症として，腫瘍が多く見られます。
主な腫瘍としては，乳腺癌，リンパ肉腫，及び扁平上皮癌が挙げられます。
ウミは一昨年にも上皮性癌の摘出術を行いました。
その後良好に経過していたのですが，就任直前の3月頃からしこりが見られるようになりました。

高齢個体で麻酔に耐えられるか不明だったため，かつ腫瘍の増大が比較的遅かったため，生活に支障がない限り経過を見ることに。
しかし，8月には腫瘤が地面に擦れて潰瘍を作り始めたため，手術を実施しました。
術後の経過はよく，任期満了まで健康に過ごしてくれました。

病理組織検査の結果では腺癌。
周囲組織に残存なく摘出できているとの診断を受け，現在経過観察中です。
一年間お疲れさまでした，今年はゆっくり過ごしてほしいと思います。

土佐