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2020年11月8日(日)獣医室だより086 テンジクネズミとビタミンC

以前フサオマキザルの眼下膿瘍について書かせていただきました。
同じような病気は,他の動物でもよく見られます。

今回ご紹介するのはテンジクネズミのダイズ。
8月の終わりに目の下に膿瘍が出来てしまいました。
このときも,とくに歯の問題は見られなかったため,切開,排膿,洗浄で対応しました。

さて,動物の口の周りの処置をした場合,食欲が低下する場合があります。
テンジクネズミで食欲が落ちる場合,特にビタミンC欠乏症に気を付けなくてはいけません。
テンジクネズミは,ヒトと同じくビタミンCを体内で合成できず,口からの摂取のみに頼らなくてはいけないからです。
ダイズにはビタミンCの粉末を処方し,しばらく様子を見てもらうことにします。

 

数週間後の様子。
特に食欲不振に陥ることもなく,傷口も目立たなくなってきました。
 
京都市動物園では,いくつかの動物種に日常的にビタミンCを投与しています。
ビタミンCは水溶性ビタミンに属する,抗酸化作用を持つ物質です。
多めに給与しても問題が生じるすることはまれで,様々な疾病に対して予防効果があるとされます。

といっても勿論限度があり,過剰投与はトラブルの元。
上限量を計算しながら与えています。
皆さんも,服用される際は用法用量を守ってくださいね。

土佐