飼育員ブログブログ

2019年11月15日(金)「トラのエンリッチメントにトライ」が論文になりました!

2017年からブログや園内掲示で皆様にお知らせしていた,
環境エンリッチメント企画「トラのエンリッチメントにトライ」が
この度論文になりました。
(環境エンリッチメントについては,上記ブログのリンクをご覧ください)
その時期に,京都市動物園で観察していた京都大学WRCの院生による共同研究です。

内容としては,
当園のような,敷地面積が限られた施設であっても,
環境エンリッチメントの投入種類数が増えるにつれて,
その利用頻度は増加し,
一方,常同歩行(同じ軌道を繰り返し歩くような行動)の発生を抑えられることが
明らかになりました。

そのため,施設規模に関わらず,
動物の行動の多様化に向けて,
環境エンリッチメントは「どんどん」実施することが望ましいと考えられます。
 
(環境エンリッチメントアイテムに飛びかかる「オク」)

しかしながら,(個体によっては)
来園者数の増加により,
環境エンリッチメントアイテムの利用頻度は減少し,
高所での休息が増加する様子も観察されました。

そのため,(多くの方に来園いただくことは本当に歓迎なのですが)
ご来園いただく皆様のマナーにも,少々気を配っていただけると,
(例えば,大声の呼びかけや柵を叩くのをやめたり…)
トラたちも遊べる頻度も抑えられないし,近くで見ていただくこともできますので,
お互いWin-Winになるのではないか…?
*但し,来園者の存在がどのように影響を与えるのかは明らかではありません。
 あくまで,飼育員目線の希望です。

ということが考えられる内容の論文です。

論文の詳しい内容が読みたい!
そんなあなたは,以下のリンクをご参照ください。
岡桃子, 山梨裕美, 岡部光太, 松永雅之, & 平田聡. (2019). 飼育下トラにおける環境エンリッチメントの有効性及び来園者による影響の検証. 動物の行動と管理学会誌, 55(3), 107-116.