飼育員ブログブログ

2019年9月20日(金)ゴリラとチンパンジー

毎日わずかな時間ですが、ニシゴリラとチンパンジーの近くで彼らに接するようになって1年半。

2種とも同じ類人猿で、2種とも同じ真っ黒で、とても賢いゴリラとチンパンジーなのですが、彼らの行動があまりにも違ってそれぞれが面白いのでほんの少し紹介したいと思います。


 ※楽しそうに遊ぶジェームス(前)とニイニ(後)

京都市動物園のゴリラとチンパンジーはとてもよく笑います。
毎日楽しそうに過ごしています。

ついに母親のゲンキから離れ、たまらなくかわいい行動を見せてくれるようになったキンタロウ。
ゴリラ舎のところには平日でも来園者が絶えません。

ガラスの前に人だかりができている同じ日の同じ時間、チンパンジーのところはと言いますと…

だ…誰もいない><

これ、本当に同じ日の同じ時間なのです。
この人気の差は何なのでしょう?

チンパンジーにだって、今、かわいさ真っ盛りのロジャーだっているというのに…

※満面の笑みのロジャー

 

私のイメージでは、ゴリラは静かに輝く「月」、チンパンジーは明るく輝く「太陽」。
どっしりと地に足の着いたゴリラ、足取り軽快なチンパンジー。
感情を隠すこともあり、冷静なゴリラ、感情を隠せず表現豊かなチンパンジー。

と、言った感じです。

正反対のイメージをもったゴリラとチンパンジーはそれぞれが魅力的なのですが、なぜチンパンジーはゴリラより人気がないのでしょうか…

ビジュアルですかねぇ…

 

ゴリラは嫌なことがあったら忘れない。
楽しいことがあってもだまされない。
自分を守るためにとても大切なことだと思います。

チンパンジーは嫌なことを忘れるわけではないのですが、「楽しいこと>嫌なこと」の方式が成り立っているようで、目の前の楽しいことがあると,過去のイヤなことは一瞬忘れてしまうようです(笑)。
(こんなことも…)

私はゴリラタイプかな…
だからでしょうか、チンパンジーに憧れるのは…^^;


一日数回、全力で大騒ぎ。
オトナもコドモも感情をストレートに出し、よく怒り、よく笑う。
エサもそのへんの草や木も、ウ〇コもアートにしてしまう…

そんなチンパンジーの魅力にも気づいてもらいたいなぁ…と、お客様の少ないチンパンジー舎をさみしく思うのでした。

ゴリラとチンパンジー、2種を比べることでさらにそれぞれの魅力が増すような気がします。
関西(日本の西半分)でゴリラとチンパンジーが見られるところは京都だけですので、ぜひ比べながらそれぞれを好きになってもらえたら嬉しいです。

種の保存展示課 タカギナオコ