飼育員ブログブログ

2019年12月31日(火)獣医室だより041 アジアゾウの皮下膿瘍

10月末に,アジアゾウのカムパートの左こめかみが大きく膨らみました。
傷は見つからなかったのですが,熱を持っており,痛みがあるようでした。

そして,11月初旬に,耳の内側から膿が出てきました。

 

外から膨らみを圧迫したところ,白くどろりとした液体が大量に出てきました。
内部で細菌に感染し,膿が溜まっていたようです。

皮下に膿が溜まっている場合には,膿を取り除いて内部の洗浄を繰り返します。
排膿した日は洗浄をさせてくれたのですが,痛みのためか,以降は嫌がるようになってしまいました。
このため,可能な限りの消毒をしつつ,抗生剤投与で治癒を目指すことにします。

こちらは1箇月後の写真。
ふくらみはなくなり,排膿していた孔も完全にふさがりました。

ゾウの皮膚は血管が乏しく,皮膚の再生が遅いといわれています。
排膿孔が分厚い皮膚側にできると,治癒に時間がかかる可能性がありました。
今回は,排膿孔が耳の内側の柔らかい部分に開いてくれて幸運でした。

2019年の獣医室だよりは,この投稿が最後となります。
来年も,動物園でお待ちしております。
皆様,よいお年を。

土佐