救護センターブログブログ
2019年10月31日(木)旅の途中
眉が太くて,尾羽が長くて,結構ごつくて。
くちばしが黄色と黒。
一体,誰?
似たような顔をした鳥が頭に浮かんでは消え,
行きついた先は,大きさからするとツグミの仲間。
図鑑のページをめくると,それらしき鳥の姿が載っていました。
マミチャジナイのメス
初めて見ました。
ロシアや中国の東北部で繁殖し,冬に東南アジアに渡る途中に,
日本に立ち寄る旅鳥です。
9月下旬には日本にやってきて,しばらく滞在します。
マミチャジナイを箱から出して診察しようとすると,ハラリハラリと羽が抜けました。
どうやら,キジバトやヤマドリと同じく,
危険を察知すると羽が抜けるタイプの鳥のようです。
猛禽に襲われそうになった時に,猛禽の爪が肉に食い込まないよう羽が抜けて難を逃れます。
人間も危険な存在なので,体をつかもうとすると羽が抜けるのです。
抜ける羽は,空を飛ぶには差しさわりのない体羽なのですが,
だからといって,むやみに抜けさせるわけにもいかないし。
手に持つ回数を少なくして,ちゃっちゃと治療せねば!
マミチャジナイはネコに襲われたようで,腰のあたりに数か所の爪傷がありました。
消毒,傷口の縫合,抗生剤の注射を終えると,腰が丸裸になっていました。
痛々しい姿になってしまって…。
マミチャジナイはちゃんと飛べるものの,あまりエサを食べず,強制的に食べさせるために捕まえるとさらに羽が抜け,回復に時間がかかってきます。
飛べるのならば,元気なうちに放野する方が良いと判断し,
翌々日に放野しました。
しっかり回復してから放野できれば理想的ですが,
保護期間が長引くとかえって状態が悪くなる場合もあります。
マミチャジナイの傷口を縫った糸は体に吸収される糸です。
体羽もじきに生えてくるでしょう。
ゆっくり京都の奥山で休養して,南の国へとまた旅を続けてくれたらと思います。
(おまけ)
マミチャジナイのフンに交じって,種が出てきました。
4mmぐらいの大きさ
何の実を食べていたのでしょうね。
蒔いてみます。何が生えてくるのか,今から楽しみです (*´▽`*)
救護センタースタッフ 吉川