救護センターブログブログ

2019年6月1日(土)野鳥保護のために私たちにできること(2)

救護センターに持ち込まれる野鳥は,
人の営みや行為が原因となっていることが多く,
人がほんの少し工夫や気遣いをすれば,
防げたかもしれないと思うことがあります。

野鳥保護のために私たちにできることは何なのか,
4回シリーズの第2回は 「粘着事故を防ぐには」 です。

粘着力が極めて強く,面積も広いネズミ捕り粘着シート。
屋外で使ったために野鳥が犠牲になり,
粘着物にまみれた状態で持ち込まれます。
建物の中であっても,野鳥が自由に出入りできる場所では,
やはり被害に遭っています。

野鳥には,粘着シートがどんなものか分かりません。
そこに付いている草の種や小さな虫を食べようとして近づき,
自分がくっついてしまうのです。
ネズミを食べようとして,ホンドフクロウが貼り付いた事例もありました。

粘着シートにくっついてしまうと,そこから逃れることはできません。
もがき暴れるたびに余計にくっついて羽を傷め,
発見が遅れると衰弱し,死に至ります。

粘着物を除去する処置は,時間がかかり過ぎると体への負担が大きくなり,
死んでしまうこともあります。
時間との勝負です。


粘着物が付着しないよう,粉をまぶし


油で粘着物を除去します。

この後,洗剤で油分を洗い,シャワーのお湯で洗い流し,
タオルとドライヤーで乾かします。
1回で除去できない場合,体力の回復を待って
日を開けて行います。

                 ↑ 頭に粘着物が残っている状態。

人に触られるだけでも野鳥には強いストレスがかかるのに,
粘着物除去に必要な処置が,野鳥の心身にどれだけの負担となっているか,
野鳥の立場になって想像してみてください。

こんな辛いことを野鳥に耐えさせないためにも
粘着事故を起こさないよう,私たち人間が気をつけなければなりません。

屋外はもちろん,屋内であっても野鳥が遊びに来る場所では,
決してネズミ捕り粘着シートを使わないでください。
たったこれだけで,粘着事故を未然に防げるのです。
皆様のご協力を切にお願いします。

                               救護センタースタッフ 吉川