救護センターブログブログ

2017年5月9日(火)燕来る時になりぬ

3月のまだ肌寒い朝,ひゅんとかすめ飛ぶツバメの姿を見つけたときは嬉しくて
「おかえり~♪」と声をかけました。
遠く離れた南の国から,ただひたすら山を越え,海を渡って帰ってきたと思うと
胸が熱くなります。
ツバメは春を連れてくる鳥です。
まっすぐで一点の曇りもない純真な瞳,シュッとしたスタイリッシュな姿に癒されます。

あちこちで巣作りが始まったころ,1羽のツバメが持ち込まれました。
翼が折れ,恐ろしく痩せていました。

鳥の胸には板状になった胸骨があり,その中央にある突起は,竜骨突起(キール)と呼ばれます。
ここについている筋肉(胸筋)の量で,痩せているかどうかを判断することができます。この方法は「キールスコア」と呼ばれ,5段階で評価します。
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このツバメは「キールスコア1」です。
痩せて,胸筋が減り,竜骨突起が尖って見えます。
危険なほどにガリガリに痩せている状態です。
*正常な状態を表すキールスコア3では,なだらかな山のようになっています。

このツバメは救護後,まもなく亡くなりました。
最期の一瞬まで飛びたかったのか,片翼を広げて息絶えていました。

その羽で標本を作りました。
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上段は初列の風切羽,中段は次列と3列の風切羽,下段は尾羽です。

尾羽の長いツバメほどモテるそうなので,この子はイケメンだったのですね。

     救護センタースタッフ 吉川