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2017年4月25日(火)生き物・学び・研究センターの研究体制の充実について
~先進的な研究成果を種の保存,動物福祉に生かし,市民の皆様に教育サービスとして提供~
京都市では,平成20年4月,京都大学との間で「野生動物の保全に関する教育・研究の連携協定」を締結し,平成25年4月,動物園内に研究・教育機関「生き物・学び・研究センター」を設置するとともに,当時京都大学野生動物研究センターの准教授であった田中正之が,生き物・学び・研究センター長として着任し,学術研究・環境教育を推進しています。
この度,公立動物園では国内初となる,科学研究費等補助金を申請できる「学術研究機関」として文部科学省の指定を受けることを目指し,学術研究・環境教育の更なる充実を図るため,連携協定を締結している京都大学から研究者を迎え,同センターの体制を整備しますので,お知らせします。
1 目標
(1)文部科学省の科学研究費補助金等の資金を活用して,希少動物の研究を一層推進し,その成果を,飼育動物の長寿命化や繁殖の成功率向上等の種の保存の取組,動物福祉の向上に生かします。また,その成果は,他の動物園等に広く提供します。
(2)教育普及体制を充実し,先進的な研究成果を教育サービスとして,わかりやすく市民の皆様に提供します。
(3)研究機関としての実績を積み上げ,京都市動物園の国際的な信頼をより高めることにより,存続が危ぶまれている希少動物について,海外からの導入に積極的に取り組み,将来に渡って,「市民に愛され親しまれる動物園」を維持・発展させていきます。
2 研究体制及び教育普及体制の充実
(1)内容
公立動物園では国内初となる,科学研究費等補助金を申請できる「学術研究機関」として文部科学省の指定を受けるため,次のとおり研究体制を充実します。
- 外部助成金・補助金を獲得し,研究を企画・実施・統括する職として,「主席研究員」を配置
- 主席研究員の統括の下,専任の研究員(非常勤嘱託員)を配置
- 研究成果を市民にわかりやすく伝えるため,教育普及を行う研究員(非常勤嘱託員)を配置
(2)体制充実の時期
平成29年6月1日(予定)
3 平成29年度生き物・学び・研究センター事業予定
(1)研究
- 動物園飼育の霊長類を対象とした比較認知科学研究
- 動物園動物を対象とした福祉科学的研究(京都大学との共同研究)
- 国内希少種ツシマヤマネコ繁殖のためのゲノム科学的研究
- アジアゾウの栄養学的研究(岐阜大学,京都大学の共同研究)
- キリンの乳性分に関する基礎研究(帯広畜産大学との共同研究)
- IT技術を使った遠隔監視システム研究(ASTEMとの共同研究)
(2)教育普及
- 「サルの勉強のおはなし」(センター長の研究解説,毎月1回)
- 「夜の図書館カフェDEトーク」(閉園時間後の図書館利用,毎月1回)
- 京都精華大学との教育連携事業(通年,毎週月曜日に実施)
- 市立錦林小学校との教育連携事業(各学年の学習と連動した教育活動)
- 京都大学との連携周年事業「野生動物学のすすめ」(今年度は終了)
- 青少年科学センター・府立植物園・京都水族館との4園館連携事業
- その他,随時,園内イベントや掲示による普及啓発
[参考]
1.生き物・学び・研究センターについて
センターについては,こちらのページをご覧ください。動物園HP内,「生き物・学び・研究センター」のページへのリンクです。
3.京都市と京都大学の「野生動物の保全に関する教育・研究の連携協定」概要
京都市と京都大学は,京都市動物園と京都大学野生動物研究センターをそれぞれの中核として,京都市動物園における野生動物保全に関する教育及び研究の連携を図るため,協定を締結するものである。
この協定は,野生動物保全のための「種の保存」と「環境教育」を実践する場として,京都市動物園の機能充実を目指す京都市と地球社会の調和ある共存という理念の下,実感を基盤とした「環境教育」を通じて,次世代へ人間を含めた自然のあり方についての深い理解を伝えていくことを目指す京都大学とが連携し,野生動物の保全と共生に向けた取組を京都市動物園において行うことを目的とする。
<協定の主たる協力事項>
1. 京都市動物園で飼育する動物の研究に関する事項
2. 京都市動物園における環境教育及び生涯学習に関する事項
3. 絶滅危惧野生動物の保全に関する事項
※平成29年4月24日 市長記者会見資料より抜粋。
記者会見記事はこちらのページへ(京都市情報館へのリンクです。ページ中にPDF版会見資料へのリンクがあります。)