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2021年2月20日(土)獣医室だより101 フンボルトペンギンの総排泄腔脱
以前の獣医室だよりで,動物は痔にならないと書きました。
ですが,肛門の病気にならないわけではありません。
今回は,鳥類で比較的よく見られる,総排泄腔脱についてお話しします。
鳥類にはお尻に穴が一つだけあり,総排泄口(そうはいせつこう)と呼ばれます。
これは,総排泄腔(そうはいせつくう)という器官につながっています。
クロアカとも呼ばれるこの空間には,直腸からの便と,尿生殖道からの尿が貯留されます。
更に,メスの場合には卵管も開口しています。
さてこの総排泄腔,腹腔内への固定が強くありません。
このため,排泄口から外に飛び出てしまうことがあります。
これを総排泄腔脱と呼びます。
卵詰まり,総排泄腔炎,それに問題行動が原因となることが多いとされるこの病気,完全に脱出している場合,早く治療しないと脱出した部分が壊死してしまう,怖い病気でもあります。
先日,フンボルトペンギンのナンテンのお尻が赤いという連絡があり,ペンギンプールへ確認に行きました。
観察すると,確かにお尻がピンク色になっています。
総排泄腔が脱出しているのだろうと推測しましたが,脱出の程度が非常に軽いこともあり,様子を見ることにしました。
数日後には脱出も収まり,そのまま経過観察となりました。
なお,完全に脱出した際には,総排泄腔を腹腔内に押し戻す治療をします。
再発する場合には,排便できる隙間を残して総排泄口を縫合します。
飼っている鳥でこのような症状が見られた場合には,早めに獣医さんに連れて行ってあげて下さいね。
土佐