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2020年4月27日(月)獣医室だより058 ブラジルバクの検便

ちょうど一年前にも糞便検査のお話をさせていただきました。
丸一年経つ今回,また検便のお話を。

先日ブラジルバクの健康診断を実施しました。

 
 
ブラッシングで恍惚とした状態のミノリ。
無麻酔で採血することができます。

血液検査で異常値がみられ,寄生虫感染を調べる必要が出てきました。
寄生虫のうち腸管に寄生するものについては,検便で調べていきます。

当園では,基本的に2種類の方法で検便を実施しています。
一つ目は,糞便をスライドグラスに塗り付けて検査する直接法。
この方法では,原虫の栄養型,シスト,蠕虫(線虫,条虫,吸虫等多細胞の寄生虫)の卵,それから蠕虫そのものを検出できます。
二つ目は,飽和水溶液を用いて対象を浮遊させ検査する浮遊法。
原虫のオーシストや線虫卵の検出に適した方法です。

これらの方法でも検出できない,あるいは念入りに検査したい場合には,さらに2つの方法を使います。
まず,浮遊法に遠心の手順を加えた遠心浮遊法。
そして,沈殿法の一種であるMGL法(ホルマリン・エーテル法)。
原虫シスト,蠕虫卵,及び幼虫の検出に適しています。
どちらも手順が複雑になりますが,検出率を向上させることができます。


面白くない写真でごめんなさい。
夾雑物がなくなりとても見やすくなった鏡検像です。

今回の検査では遠心浮遊法とMGL法を行ったのですが,結果は陰性でした。
今後,他の要因を探っていくつもりです。

土佐