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2020年3月3日(火)獣医室だより050 ホンドギツネの裂傷

2月の初旬,ホンドギツネが怪我をして入院することになりました。
診察したところ,左前肢第2指の肉球から指の間まで切り傷が伸びていました。

麻酔をかけ,傷口を徹底的に洗浄,縫合します。

 

縫合直後の様子。
まだ傷口が赤く,体液がにじんでいます。
その後,抗生剤を投与しながら2-3日に1回の包帯交換と経過観察を続けました。

 

受傷から3週間後の様子。
背側と腹側の境目の部分の癒合がまた不完全ではありますが,治癒に向かっています。
この後包帯を外して生活させ,傷口が再度開かないか確認しました。
問題が見られなかったため,近日中に退院できそうです。

包帯を巻いていたときのキョウの様子。
右の肉球にも小さな擦過傷があったため,また左右のバランスをとるために,右脚にも包帯を巻いています。
自分で包帯をとらないよう,入院中はエリザベスカラーを使用しました。

肉球の障害は,体重負荷がかかるため治癒が悪い場合があります。
そのため,十分な包帯を施して治癒を促進する必要がありました。
包帯には,傷周囲の清潔さの維持だけでなく,温度の維持,負重軽減,過剰な体液の吸収などの効果があるんですよ。

土佐