飼育員ブログブログ

2014年1月20日(月)ライオンの健康診断

皆さんこんにちは。
最近,おじいさんライオンのナイル(オス,20歳)の動きが悪く,体調不良が疑われたため,先日15日(水)に急きょ健康診断を実施しました。
状態としては,夕方になかなかグラウンドから寝室に入って来ず,動くのがしんどそうにしていたのと,足の裏を痛がるようなしぐさをしていたため,これらの原因を探ることを目的としました。

これは,処置中の様子です。
伴侶動物と違い,全身麻酔下での処置となります。
高齢動物に対する麻酔は,呼吸や循環機能へのリスクが大きく,十分な注意が必要です。室内は暖房で十分にあたため,その他にも保温のため,ヒートマット,湯たんぽ,毛布を用い,酸素マスクの装着,心電図や体温のモニタリングをしながら処置を行いました。

これは,伸びていた爪の様子です。爪が伸びすぎるとネコと同じで巻き爪になりパッドに刺さることがあります。

このように,剪定ばさみを使って爪を切っていきます。切り終わったら,ヤスリできれいに整えます。
また,脱水に対する処置として,補液も行いました。ナイル君は今回体重が148㎏でしたが,静脈と皮下の2つの方法で,背中2箇所と静脈1箇所の3箇所同時に補液しました。量が多いため,補液だけでも大変でした。
血液検査の結果は,腎臓の働きが少し悪くなってきた程度で,その他の異常は認められませんでした。
今回は,獣医・飼育担当がチーム一丸となり,迅速に処置を終えることができました。改めてチームワークの大切さを感じました。
高齢になると,寒さで体調をくずすこともあります。無理はさせず,できるだけ暖かくし,健康で長生きしてもらいたいです。

獣医師 塩田幸弘