飼育員ブログブログ

2010年7月8日(木)いいんかい?いいんです!

 平成22年7月4日(日),5日(月)に京都市動物園でキリン繁殖検討委員会が開催されました。    
 これは,日本動物園水族館協会が果たすべき役割として掲げられている「種の保存」を個別的・積極的に推進するために組織された繁殖検討委員会の1つです。
 現在,日本では56園・157頭(2009年末)のキリンを飼育しています。しかし,ここ数年は死亡数が出生数を上回っているため,キリンは,年々少なくなってきています。その現状を受けて,種別調整者は昨年から北海道,関東・東北,中部,近畿,中国・四国,九州・沖縄の6ブロックから委員を招集し,繁殖検討委員会を開催,繁殖が順調に進むようにオス・メスの適正な移動や繁殖計画について検討を進めています。
 今回はアミメキリンやマサイキリンなどの亜種をDNAで判別するため,研究活動をお願いしている京都大学野生動物研究センターの村山美穂先生・安井早紀さんからの中間報告を受け,キリンにおける亜種と亜種間雑種の扱いについての検討を進めました。

 あわせて,飼育管理等についても情報収集を進め,よりよいキリンの飼育環境を目指すための取組を行っており,その一環としてヨーロッパ動物園協会が作成したガイドマニュアルの翻訳し,その発刊について討議しました。
 さらに,京都近郊のキリン飼育園館のスタッフも加わり,キリンの繁殖と栄養に関する公開講座を開催,岐阜大学応用生物科学部の楠田哲士先生(動物繁殖学研究室)と八代田真人先生(動物生産栄養学研究室)によるレクチャーが行われ,キリンへの理解と連携を一層深めることが出来ました(http://www1.gifu-u.ac.jp/~zoology/contents/album/album.html#7-5giraffe)。
 また,当園のキリン舎に移動して,キリンの日常管理の一つとして重要な蹄(ひづめ)の削蹄(爪をけずる)方法を見学し,意見交換を行いました。


 このような委員会活動を通して,種の保存(域外保全)やより良い飼育環境の実現に向けて努力しています。
 京都市動物園では,この他にもグレビーシマウマ,ホウシャガメ,アムールトラ,ニシゴリラの活動に携わっています。
                近畿ブロック キリン繁殖検討委員 わだせい