飼育員ブログブログ

2010年6月3日(木)虎の子・・

 もしかしたら,トラのアオイ(♀,5才)が,とうとうご懐妊したかもしれません!

 2007年の秋に多摩動物公園からアオイのお婿さんとしてビクトル(♂,13才)を迎えて3年目。

 これまでアオイの発情に合わせて何度となくお見合い・同居を繰り返してきましたが,なかなか交尾が成立しませんでした。

 これまでは野生ではトラは発情期にしかオスメス一緒にならないこともあり,非発情期には分けて飼育していたのですが,交尾体勢に入ってもインサートには至らなかったり,じゃれあうだけでその体勢にも至らないことが続いていました。そこである程度動物にそのタイミングを任せてみようということで,今年に入ってから非発情期も二頭一緒にし同居を継続しました。その甲斐あってか3月5日朝,グラウンドに出た直後,初めて交尾成立!その後何度となく交尾を行い,結局3月9日まで交尾を繰り返しました。

 トラの妊娠期間はおよそ100日。最終交尾から換算すると6月17日前後が出産予定日です。トラに限らず飼育下のネコ科の動物は,落ち着かない環境だと生みっぱなしで世話をしなかったり,子供を殺してしまったりします。飼育現場も落ち着いて出産できるようにとワラを入れて産室を作ったり,ヨシズを立てかけて周りから見えないようにしたりと環境づくりに一生懸命です。また,京都大学・野生動物研究センターとの連携で産室の状況をビデオカメラで撮影,記録を撮り始めています。

 野生では絶滅が危惧され,国内でも頭数が減少している動物・トラ。希望的観測かもしれませんが,最近妙にお腹が目立ってきた気がしてなりません。もし妊娠しているとしたら,安産でさらにアオイちゃんの手で育ててくれることを期待しています。皆さんもトラの獣舎前ではなるべく静かに見守っていただければと思います。

産室で気持ち良さそうに寝るアオイちゃん                

                   最近トラ担当獣医になった岡ちゃん