飼育員ブログブログ

2021年1月30日(土)噴水池の池干し

すでに以前のブログでご存じの方もおられるかと思いますが,
先日園内にある噴水池の池干しを行いました。
本来であればイベントとして1月23日にみなさんと一緒に行う予定を
していましたが,新型コロナウイルス感染症の流行もあることから
イベントとしては中止をしました。

そこで,人手も少なくなってしまったので動物園の職員全員
で池干しを行いました。

そもそも「池干し」とはですが,池の水をくみ出し,泥をさらい,
魚などの生物を捕獲し,池の底を天日に干す
日本の伝統的な池の管理方法です。
池の水質改善や外来種の駆除のために行います。
また,目的の一つとして園内の噴水池に
イチモンジタナゴが定着できるようにするということがあります。

池干しは定期的に行っていて,噴水池の環境が整ってきたら,
園内で繁殖したイチモンジタナゴを放流できるようになればと考えています。

※イチモンジタナゴ

環境省及び京都府のレッドリストで最も絶滅が危惧されている動物の一種です。
体に青い一文字が入っているのが特徴で,
湖沼や河川,農業用水などに生息しています。
琵琶湖淀川水系,濃尾平野,福井県三方湖,和歌山県紀の川水系などに分布し,
琵琶湖疏水でつながっている平安神宮神苑にも生息しています。

噴水池には平安神宮神苑と同じ琵琶湖疏水を引いていることから,
環境を整え絶滅危惧種であるイチモンジタナゴを保全していこうとしています。

池干しでは,まず前日から池への給水を止め,止水板を外して水を抜いていきます。
次の日にはほぼ池の水は抜けています。

ここから,各自たも網とバケツを持って池に入り,生き物を捕まえていきます。
深いところやぬかるみもあったりとドロドロになりながらの作業でした。

2時間ほどをかけて池にいる生物を捕まえました。

噴水池はこのまま一か月水を抜き,地面を乾かします。

今回捕獲した生物は,ヤリタナゴ,カネヒラ,オイカワ,ヨシノボリ,
ウシガエル,アメリカザリガニなどでした。

ヤリタナゴ

ヨシノボリ


数多くの生物を捕獲でき,現在,同定作業を進めています。
捕獲した生物の種や数については次のブログでお知らせできればと思います。

ちなみに,現在,京都の森展示室では今回の池干しで捕獲した生物を
在来種と外来種に分けて展示しています!

また,イチモンジタナゴは常設展示として見ていただけます。
なかなかイチモンジタナゴについて知っている方は少ないかもしれませんが,
保全への取組を通じて少しでも関心を持ってもらえたらと思います。

守れ!イチモンジタナゴ!!プロジェクト担当
井上