飼育員ブログブログ

2021年1月23日(土)フィールドサイン

京都市動物園の中央には,117年前の開園当初からある「噴水池」があります。

先日,この池の水を抜きました。
希少種のイチモンジタナゴをはじめ,本来この地域で生息する生物たちが生活できる環境を整えるのが目的です。
 

水がなくなり,土が乾いてひび割れができてきました。

この「ひび」の間から空気が地中に入るため,再び水を入れたときにこの池は元気になります。

さて,このひび割れた地面やぬかるんだ地面,そして水たまりに,多くの生物が集まってきています。
先日のブログでも,アメリカザリガニを食べるイソヒヨドリを紹介しました。

〇で囲ったところにいるのは,左がコサギ,右はアオサギです。
水たまり部分にいる生物を獲るために来ています。


これはセグロセキレイ。
他にも,ハクセキレイやキセキレイも来ます。

鳥たちが歩くと,足跡が残ります。

赤い丸はサギ,青い丸はカモ,白い丸はセキレイです。


これはセキレイの足跡。
かわいらしいですね^^

さらによーく地面を見ると,昼間は見かけたことのない生物の足跡もありました。

これはイタチでしょうか。
このあたりにいるイタチの多くはチョウセンイタチで外来生物です。

そして,今回頭を悩ませた足跡は…

これ,何かわかりますか?
よく真ん中に筋,両側に点々…(両端の点々が,鉛筆のとがった芯でツンツンしたくらいの小さなものです)

フィールドサインの得意な先輩に聞いたところ,虫ではないかと!
オサムシの仲間かなぁ…とのことです。
※もし,詳しい方がいらっしゃったら正解を教えてください^^

このような足跡や,糞,何かを食べた跡,爪とぎの跡や,マーキングの跡などなど,生きものの姿は見えないけれど,そこに来た証拠となるサインをフィールドサインといい,そのサインを見て生きものの種類はもちろんのこと,何をしていたのかや何のためにここにいたのかなどを想像するのです。

とても楽しいと思いませんか?
このようなサインは自然が豊かな場所だけでなく,身近にあふれています。
ぜひ,みなさんも探してみてください。
そして,いろいろなことを想像して,生きものたちのことをもっともっと知ってもらえたらと思います。

種の保存展示課 タカギナオコ