飼育員ブログブログ

2020年9月6日(日)ツシマヤマネコの「みやこ」が亡くなりました。

ツシマヤマネコの「みやこ」について,
残念なお知らせをしなくてはなりません。

今年の3月から腎不全により体調が芳しくないことを
主にSNSでお伝えしていましたが,
9月5日に息を引き取りました。
 
「みやこ」は,
2012年,現在のもうじゅうワールドができたときに
京都市動物園にやって来ました。

そもそも,「みやこ」は福岡市動物園で生まれたツシマヤマネコで,
当園に来るまでに10頭の子を産んでいた優秀なメスでした。
年齢的な理由から,繁殖計画から外れ,
当園で「来園者の皆さんに知ってもらうために」展示が始まりました。


当初は,似たような名前の「イリオモテヤマネコ」と混同されることも多く,
知名度はほぼありませんでした。

しかし,最近は「みやこ」の展示や,毎年行っている「やまねこ博覧会」の成果か,
近くに住む小学生が写真を見れば「ツシマヤマネコ!」と即答できるほどの知名度になりました。

今年で年齢は18になり,
国内の飼育下ツシマヤマネコでも
(ちゃんと年齢が明らかとなっている個体の中で)最高齢でした。

最後は,ネコの主たる死因でもある,腎不全で,
大好きなマウスも食べられなくなるほど,なかなか苦しい日々でした。
ネコの仲間の死に方は,何度関わっても苦しいことが多いです。

さて,ここでツシマヤマネコ「みやこ」に思い入れのある皆様にお願いです。
先にも書きましたが,絶滅危惧種である動物が展示される理由は,
「みんなに知ってもらうこと」,
そして「絶滅危惧種である動物を守るために,みんなに協力してもらいたい」
これらの思いに尽きると思います。

野生のツシマヤマネコを守るために,
ツシマヤマネコのことを知ってもらい,
興味を持ってもらうことが,
「みやこ」の展示の大きな目的でした。

もし,「みやこ」やツシマヤマネコに興味を持っていただけたら,
今開いているパソコン・スマートフォンから検索して,
ツシマヤマネコの保全のためにできることを探してみませんか。


(対馬の田んぼとツシマヤマネコ。
 ;田んぼのあぜ道,真ん中にいる小さな塊が,実はツシマヤマネコ。
  秋には小動物を捕らえに,田んぼに多くのツシマヤマネコがやって来ます。)
皆さんの思いをぜひ,野生のツシマヤマネコにも届けていただけると
うれしいです。

晩年の「みやこ」の情報発信に,
コメントいただいた皆様に心より感謝申し上げます。

           ツシマヤマネコ「みやこ」 担当  オカベコウタ