飼育員ブログブログ

2020年6月26日(金)「みやこは,元気ですか?」

SNSや掲示物を通じて,ツシマヤマネコ「みやこ」の様子(飼育の工夫)を
お伝えしているのですが,おそらく私の言葉足らずのせいで,
うまいこと状況が伝わっていないかもしれないので,
一度ちゃんとまとめて報告させていただきます。

イエネコをおうちで飼われたことがある方はご経験があるかもしれませんが,
イエネコは腎臓(血液を濾して,尿を作り,老廃物や水分の調整を行う器官)を
患うことがあります。(高齢のネコは特に)

イエネコが腎臓を悪くする生態的な要因は諸説ありますが,
・肉しか食べない食生活(肉食動物)
・祖先といわれる動物がもともと水分をあまり摂らない種だったため
など,と言われています。
そのため,そもそもイエネコの腎臓はとてもよく働いています。

とてもよく働いた結果,腎臓を患う高齢ネコはたくさんいます。
当園で飼育していたライオン「ナイル」もツシマヤマネコ「みやこ」も同様です。
血液検査による腎臓の機能を示す数値は現在悪い状態です。
そして「悪くなったら治療して治せばいい」と,いうわけではありません。
悪くなった腎臓は元に戻りません。
(今どきのイエネコでは,人工透析,腎臓移植を行う病院なんかもあるようですが…)

今の「みやこ」は,悪いながらも最悪の状況にならないよう,調整をしています。
毎朝の薬,給餌回数を増やす,食べる気になる餌を探す…など,いろいろです。
いろいろやっても,だんだん調子は悪くなってきます。
そのため,最近は食べなくなってきたりすると
(伴って,腎機能の数値は悪くなることが多いので)
朝夕2回の補液(体内に水分含め,薬液を皮下に入れること)をします。

今のところ,これらの処置でなんとか
マイペースに生活をしてもらっている状態です。
(補液されている「みやこ」は,たまったもんではないでしょうが…)

なので,「元気」かどうかと尋ねられると,私は元気ではないと
考えています。
なぜかと言うと,腎臓の機能を示す数値は悪く,
健康な状態であるとは言えないからです。
そして,治ることはありません。
多くの腎不全のイエネコと同じように,だんだん食べなくなっていき,
亡くなると思います。

今すぐにどうこう…というわけではないとは思いますが,
日々の変化はやや綱渡りに感じるところもあります。
餌の食べ具合,排便の様子に緊張する毎朝です(本当に)。
コンスタントに食べられるようになればいいのですが,
現状なかなかそういう状態にはなっていません。

毎度たくさんのコメントやお声がけ,大変ありがたく思います。
みやこの状態にご理解いただけると幸いです。
        ツシマヤマネコ担当  オカベコウタ