飼育員ブログブログ

2019年10月30日(水)タンザニアへの窓Part3~名前の秘密~

※バックナンバー
タンザニアへの窓Part1~旅のはじまり~
タンザニアへの窓Part2~チンパンジーはどこに?~

Part3のはじまりはじまり♪
今回はゴンベ・ストリーム国立公園に住む
チンパンジーたちのお名前の話からはじめますね!

前回のブログでもご紹介したGREMLINとGRENDの親子。

名前の秘密は分かりましたか?
どちらも“G”から名前が始まっていますね!
チンパンジーは複雄複雌の群れを作って活動しますが,
雌は性成熟すると群れから離れていきます(例外あり)。
群れの中に複数の成熟雄が居ることから子供の父親の判別は困難で,
母親の頭文字を継承していくことで血統を把握しています。
今回観察したエリアには“G”以外にも“F”や“N”など
全部で18のグループ(計54人)が存在しています。
一番数が多いのはGグループの17人ですが,
最も力を持っているグループは“F”とされており,
数年単位でαオスの入れ替わりもみられています。
※“F”は54人のトップに立つαオスが居るグループです

初日の観察ではほとんどが樹の上でしたが,
2日目の観察では地上でチンパンジーを観察することができました!

FAUSTINO(37歳,雄)

GIMRI(14歳,雄)
一般的に知られるとおり,雄同士で行動を共にしているようです。
この辺りではGグループが活動しているはずですが,“F”の子も居ますね。
実は“G”のメンバーと“F”のメンバーは仲良しらしいです♪
ただαオスだけは苦手らしく,彼がやってくると“G”のメンバーは逃げます…

そんな彼らを観察していると向こうの方でガサガサ音が…

!?



あっという間に8人の集団になってグルーミングを始めました!
このようにチンパンジーは小さな集団が集まったり離れたりを
繰り返すことで知られています(離合集散)。
今回訪れた時期は乾季の終わりごろで森の中のエサも多くはなく,
集まるとしても5~6人らしいのでとても幸運でした!
(エサの多い雨季は20人程度で集まることも)

この子はGOMBE(1.5歳,雄)です♪GREMLINの孫にあたります。
GRENDとGOMBEの遊ぶ様は,京都市動物園の
ニイニとロジャーを思い出させます♪
※彼らの様子(動画)は京都市動物園公式FacebookとInstagramで公開中です♪
GグループはGREMLINの子供たちを中心に大きく数を増やしていて,
数年後にはGグループからαオスが出てくるのではないかと言われています。

まだまだ無邪気なGRENDもグループを背負って立つ雄に
今後成長していくのかもしれませんね(^‐^)

こうしたチンパンジーの社会構造や繁殖行動は
ヒトの進化を研究するうえで重要な発見でした。
さらに,ここゴンベでは1960年代に「シロアリ釣り」の様子が発見され
ヒトだけが道具を使うという通説が覆されました。
他のサルなどを狩猟して肉食する様子が発見されたのもゴンベでした。
今回,野生でのチンパンジーの姿を観察できただけでなく,
彼らの暮らす環境やこれまでの研究の積み重ねに触れられたことは
とても貴重な体験となりました。

うむむ…また長くなってしまいました…(-_-;)
国立公園の隣の村での話もしたかったのに。
この話はまた次回ですね!
みなさま気長にお付き合いください(^ω^;)w

                          アラマキ