飼育員ブログブログ

2009年6月21日(日)ねぇ~ねぇ~!起きて!!

今回は、1ヶ月ほど前の少し微笑ましく感じるニシゴリラの出来事についてお話します。

前回オスのゴンの病状についてお話しましたが、その治療をするべく、5月11日に麻酔をかけました。治療も無事に終え、麻酔を醒ます薬を注射し、ゴンが起き上がってくるのを「いまか、いまか」と待っている時のことでした。とっ突然、隣りの部屋の仕切り扉から大量の水しぶきが飛んできました。

そこにいたスタッフ一同、何が起こったのか、すぐにはわからず、どこから水が飛んできたのか、「ゴリラにつままれた」いやいや「キツネにつままれた」ように顔を見合わせました。仕切り扉には、心配そうにゴンを見つめるメスのゲンキがいるだけです。そしてまた、僕たちがゴンを見つめていると「バシャッ!」と再びゴンに水しぶきがかかりました。振り返るとまたまた心配そうなゲンキの姿があるだけです。「おかしいなぁ~?」と思った次の瞬間・・・

ゲンキの口から大量の水がゴンに向かって、吐き出されました!「何してるんだ?ゲンキ!」と叫んだ後、ふっと思いました。「ひょっとして起こそうとしているの?」

そうなのです。いつものゴンなら檻越しにゲンキの様子をうかがっているのですが、今日は横になったままピクリとも動かないことが不安で仕方なかったのでしょう。ただ、先輩の中には「日ごろ餌をとられている恨みを、ここぞとばかりに晴らしているんだよ。」と言う人もいました。しかし、独りぼっちになった時、大声でゴンを呼んでいる ゲンキの姿を何度も見かけたことがあります。したがって僕は、「ねぇ~、ねぇ~!起きて!!」と必死になって、ゴンを起こそうと水をかけているんだと確信しています。

みなさんは、どちらだと思いますか?ただ、この水をかけられたことが刺激になって、ゴンは早く麻酔から醒めたことは事実です。

このことがあってから、特にゲンキが可愛らしく思えるのは、担当者の欲目なのでしょうか? 

                            ニシゴリラ担当 長尾充徳