救護センターブログブログ
2024年2月6日(火)ハイタカの今とこれから
12月末に救護されたハイタカ。右の翼の骨折がひどく、断翼手術をせざるを得ない状態でした。手術は成功しましたが、片翼がない状態では野生へは帰れません。関係者が集まり協議の結果、ハイタカは人の元で暮らすことになりました。野鳥はなるべく人に馴れさせないように接するのですが、今回はイレギュラーパターンであり逆となります。人と過ごしてもストレスを感じにくくなるように人の存在を覚えて(受け入れて)もらわなければなりません。
ワシやタカ、ハヤブサ等の猛禽類は屈強な見た目から「強そう、何事にも動じなさそう」と思われがちですが、実は全く正反対です。大変神経質で警戒心が強く臆病でちょっとしたことがストレスになり体調を崩します。ですので、トレーニングは慎重に行わなければなりません。
トレーニングをするにあたり、第一には心身が健康であることが重要です。このハイタカの場合は手術を受け片翼を失ったため、身体にも精神にも負担がかかっている状態でした。全身状態が落ち着くまでは無理はできません。術後2週間ほど経過し、広い鳥舎に移る事ができ、その鳥舎での生活がある程度落ち着いてきた頃合を見計らってトレーニングを開始しました。
野鳥は人を怖がります。このハイタカも例に漏れず、人を見ると部屋の隅に逃げ硬直しました。はじめは人を見てもストレスを感じないようになる事から始めました。
それから人がいても食事ができる、人の腕に据えられた(乗せられた)状態を維持する、人の腕から体重計に乗り移る、また腕に戻る…とステップアップしていき、2/1現在は人の腕に乗った状態で人がピンセットでつまんだ肉を食べる事ができる、腕に乗った状態で少し散歩をする事ができるようになりました。
鳥は人よりも人のことをしっかりと観察しています。人の緊張や揺らぎを察知するとハイタカも逃げる準備をします。まだトレーニングは始まったばかり。ハイタカが安心して人と過ごせるようになるまではまだ時間がかかるでしょう。
日々の進捗状況などはインスタグラムにも投稿しておりますので、ぜひご覧ください。
鳥にとって一番自然な姿は野生下で暮らすことです。ですからこのハイタカが人の元で暮らすことがベストなのかどうかは難しいところです。しかし与えられた機会は鳥に勉強させてもらっている、という気持ちで臨みたいと考えます。
担当者とハイタカ、二人三脚で頑張っていきたいと思います。
野生鳥獣救護センター みやがみ