救護センターブログブログ
2023年3月27日(月)アカエリヒレアシシギ、新天地へ
去年の8月のことです。
「飛べないでウロウロしている」とアカエリヒレアシシギの幼鳥が持ち込まれました。
初めて見る鳥だったので調べると、日本では繁殖や越冬はせず、春と秋の渡りの途中に立ち寄る旅鳥でした。
救護された場所の近くでは、同じころにアカエリヒレアシシギの群れが観察されていたので、おそらくその時にケガをしたようです。
右翼を失ったので野生復帰は叶いませんでしたが、飼育ボランティアさんに終生飼育をお願いすることになりました。
初めての鳥に戸惑いながらも試行錯誤を繰り返した日々の一部を、紹介したいと思います。
アカエリヒレアシシギ(以降はシギ)は何を食べているかを調べると、プランクトンと書いてありました。
プランクトン!何て難しい(;_;)
動物園のイチモンジタナゴで使っているブラインシュリンプを分けてもらったり、冷凍アカムシや乾燥イトミミズを買ってきたりして、あれやこれやと試しました。
食べている感じはあるような、無いような…。
エサの決め手に欠けるなか、「他所の救護センターで働いていた時に、トキペレを与えていた」という有力な情報を持つ人が現れました。トキペレとは、トキ用に開発されたペレットです。
藁をもすがる気持ちで試してみたら、食べました!
これで餓死させずに済む、とホッとしたのを覚えています。
シギは右翼を失ったので、体のバランスが取りにくくなりました。
ひっくり返ることも多くなってきました。その度に羽が擦れて抜けていきました。
バランスが取れないとは言え、よくこけるのは何故だろう。そう思って足裏を見ると、エサとフンが幅広の足裏にこびりついてカピカピになっていました。
ひえ~(>。<) もっと早くに気づいてあげられなくてゴメンナサイ。
シンクにぬるま湯を張り、泳がせている間に足裏のカピカピをふやかすことが日課になりました。
シギはトレイを差し替えるタイミングも覚えるようになり、見事にジャンプして、トレイから跳び降りたり跳び乗ったりするようになりました。
シギの看護の中で得た飼育のコツを、飼育ボランティアさんに引き継ぎました。
新たな場所で穏やかに日々を過ごせるよう願っています。
野生鳥獣救護センター よしかわ