救護センターブログブログ

2022年11月16日(水)サシバ(差羽)


サシバは渡りをするタカです。
春になると、繁殖のため東南アジア各地から日本にやってきます。

このメスのサシバが救護センターに持ち込まれたのは、4月下旬のこと。渡ってきてすぐにケガをしたようです。

左翼にある傷口からは腐敗臭がし、ウジも湧いていました。
組織の回復を試みましたが、やがて壊死し、傷口から先の翼がポロっと落ちました。
改めて断翼手術をしたので飛べなくなりましたが、元気は取り戻せました。

どのタカも大抵は警戒心が強く、人が与える肉をすぐに食べることはありません。
このサシバも空腹なはずなのに、頑なに餌を受け付けませんでした。
眼光鋭く孤高を保つ姿はカッコいいけれど、食べへんかったら死ぬので、差し餌をしました。

やがて、救護センタースタッフが置いた肉類は食べても大丈夫だと分かってもらえたようで、数日後からは自分で餌を食べるようになりました。

しかし、いつまでたっても人間は怖い存在のようで、掃除と給餌でケージ内に入ると、サシバは恐怖と焦りで心拍数が上がり、口が開いたままになります。
そんなに口を開けなくても…と毎回思うのですが、喉の奥まで丸見えです。

そんな「人間怖いよー」な子ですが、飼育ボランティア制度を利用し、京都府や環境省の許可を得て、新たな暮らしをスタートさせることとなりました。
サシバにとっては、自分を取り巻く環境がガラリと変わります。飼育ボランティアさんのお家に慣れるまで時間がかかると思いますが、穏やかに過ごせる日が一日も早く訪れるよう願っています。

旅立ちの朝。
口を閉じた写真が一枚も撮れなかったのが心残り… (*´з`)

野生鳥獣救護センター よしかわ