救護センターブログブログ

2022年10月27日(木)チョウセンイタチ

野生鳥獣救護センターでは、運ばれてくる動物の9割以上が鳥類で、哺乳類は年に数頭ほど。
忘れた頃にやってくるような存在です。
哺乳類の時はいつもと勝手が違うので、色々と思い出しながら作業します。
10月に保護されたチョウセンイタチは、1年ぶりの持ち込みでした。


チョウセンイタチはとてもすばしっこい動物なので、人に捕まってしまうということは、とても重篤な状態に陥っていると考えられます。交通事故に遭い、身動きが取れなくなっていることが多いのです。
生きて放野できたチョウセンイタチは、この10年に来た16頭のうち1頭だけです。

今回のチョウセンイタチもおそらく交通事故だったのでしょう。
足に力が入らず、ぐったりと横たわっている姿に、誰もが「もうすぐ死ぬ…」と思いました。
しかし、診察のため体が動かないように押さえようとすると、全力で噛みにきました。
自分の身を守ろうと威嚇する元気は残っていたようです。
ペットケージで一晩過ごさせると、鉄製の扉をかじって脱走を図ろうとしていました。
広いケージに放し、扉を外したペットケージも置いておくと、動かない後ろ足をズリズリ引きずりながらケージの中に入っていきました。

扉を閉めると檻で、外すとねぐらと思っているようで、なかなか興味深いです。

ねぐらケージの外に肉を置くと、見るたびに肉の量が減っていき、時々はケージから出ているようでした。

毎日治療をし、チョウセンイタチも夜間に動き回ることでリハビリになったようで、歩けるまでに回復していました。
このまま順調にいけば、放野できるかも。
そんな期待も芽生えていたのに、ある朝、亡くなっていました。
よく食べて、動き回っていたのに…。

解剖の結果、脳挫傷と肺出血があったことが判りました。
懸命に生きようと頑張っている姿を見るにつけ、愛おしい存在になっていたので、助けられなくて残念でなりません。

野生鳥獣救護センター よしかわ