救護センターブログブログ

2021年8月3日(火)ケガをしたヤマガラ

「道路にうずくまっていたので,車にぶつかったようです」と,ヤマガラが持ち込まれました。
元気がなく,羽ばたいて飛ぼうとしても,すぐに着地してしまいます。
翼の骨折はなかったものの,頭を打っているように思われたので,抗炎症薬を投与して様子を見ることにしました。

軽い脳しんとうならば,数時間安静にすれば回復しますが,そうでない場合は命を落とすこともあります。

残念ながらヤマガラは回復しませんでした。
羽を膨らませ,頭をうずめて眠っているような姿勢をとるようになりました。
膨羽嗜眠(ぼううしみん)です。

(ピンボケ写真ですみません)

寒いときに鳥が羽を膨らませることは,よくあります。
羽を膨らませて体温の低下を防いでいるので,一時的な膨らみならば問題ありません。
 
冬の朝のスズメ

しかし,気温が高いのにずっと羽を膨らませていたり,目をつむったりしていると,かなり厳しい状態に陥っていることを意味します。
鳥はギリギリまで平気なそぶりを見せるので,明らかに具合が悪い状態になると,あっという間に衰弱していきます。

追加の投薬を試みましたが,ヤマガラを救うことはできませんでした。
解剖の結果,頭蓋骨にへこみがあり,脳に出血痕もありました。

車を避けきれずに当たってしまったのでしょうか,それとも建物や窓ガラスにぶつかってフラフラと道路まで出てきたのでしょうか。
人の暮らしの中で傷ついた鳥を見るたびに,何か防止する手立てはないのだろうかと思います。

野生鳥獣救護センター よしかわ