救護センターブログブログ
2020年10月12日(月)ホンドギツネ,放野を目指して(1)
ブログ『9月の救護センター』で,ホンドギツネのことを書きました。
「その後,キツネはどうなりましたか?」と気にかけてくださっていた方がおられたので,お話ししたいと思います。
ホンドギツネは元気に過ごしています。
放野までにはまだ時間がかかりますが,日に日に歩けるようになっています。
では,どのように回復しているのか,救護センターでの日々をたどることにしましょう。
その前に。このホンドギツネとの付き合いが長くなるだろうと思った時に,名前を付けることにしました。源九郎(げんくろう)です。人前で名前を呼んだことはありませんが,キツネと二人きりの時は源九郎ちゃんと呼んでいます。
ホンドギツネのオスの源九郎が運び込まれたのは,9月15日。
踏切で動けなくなっていたところを保護されました。電車に当たったようです。
源九郎は前足と後ろ足を投げ出して,ぐったりと横たわっていました。
目はしっかりしていましたが,こんな状態で明日まで生きていられるのだろうかと思いました。
骨折はなかったものの,内臓へのダメージが見られたからです。
翌朝,覚悟しながら見に行くと,生きていてくれました。ホッと安堵したのを覚えています。
獣医師の懸命な治療が功を奏し,生死の境をさまよう事態は免れましたが,また新たな生死の境が持ち上がってきました。
「このまま立てなかったら安楽死を選択する」です。
寝たきりのホンドギツネを生かし続けることは,苦痛を与え続けることになります。
でも,何とか生きていってほしい,立ち上がってほしいと,切に願いました。
(つづく)
救護センター担当 吉川