救護センターブログブログ

2020年7月2日(木)6月の救護センター

6月に救護センターに運び込まれた鳥は,アオバズクなど8種9羽いました。
 アオバズク(参考写真)
そのうち受付をしたのは4羽です。
あとの5羽は,到着時に元気を取り戻していたり,残念ながら既に死亡していたので受付はしませんでした。
ヒナだったので受付をお断りし,
拾った場所に戻してもらうようお願いした事例も2件ありました。

ヒナをお断りするには理由があります。
ヒナをわざわざ持ってきたご足労を鑑みれば,受け取っても良いのではないかと思われるかもしれません。
確かに,ヒナにエサを食べさせれば,大きく育っていきます。
しかし野鳥なので,その後は野生で生きていかなくてはなりません。
人に育てられた野鳥は,どうなるでしょうか。 


公園で見かけたムクドリの親子です。
子どもは親鳥とほぼ同じ大きさで,ちゃんと飛ぶこともできます。
けれども,エサをねだって食べさせてもらっています。
巣立っても,親鳥からのサポートが必要なのです。

親鳥の庇護のもと,様々なことを体験し,学んでいきます。
人が近づくと,親鳥の後を追って場所を移動し,天敵から身を守る術を学びます。
親鳥の姿を見て,見よう見まねで地面をつつき,エサをとる方法を学びます。

残念ながら,私たちには親鳥のように,生きていくために必要なことをヒナに教えることはできません。
危機管理も採餌のコツも学べなかったヒナは,どうなるでしょうか。
親鳥と一緒にいるヒナでも狙われるのに…。

巣立ち前に巣から飛び出してしまったヒナは可哀想に見えるかもしれませんが,
人に育てられ,無防備で無知なまま野に放たれるほうが,
もっと可哀想な末路をたどるだろうと思います。

もしヒナを拾ってしまったら,元の場所に戻してあげてください。
親鳥が我が子を探しています。

                               救護センター担当 吉川