救護センターブログブログ
2020年5月3日(日)ハクセキレイ受難の日
ハクセキレイが来ました。
2羽。しかも同じ日に。別々の場所で保護されて。
2羽とも翼には損傷はなかったのですが…。
最初に持ち込まれたのは,灰色の顔をした幼鳥です。
右に首を振り続けていたので,頭を激しくぶつけた感じが見てとれました。
目もうっすらつぶっています。
次に持ち込まれたのは,メスの成鳥です。
立つことができず,腹ばいのままです。
時々立とうとして転び,なかなか起き上がることができません。
やはり頭を打ち,神経症状が出ていると思われました。
衝突直後にはステロイド剤の投与が有効とされています。
自宅で保護する場合には,ダンボール箱などに入れて安静にさせます。
軽い脳しんとうなら,数時間で回復して飛べるようになります。
ハクセキレイは2羽とも状態が良くありませんでした。
うつらうつらと目を閉じるようになってきたので,「明日の朝には死んでいるかも」と自分の無力さを感じながら帰途につきました。
翌朝は生きていましたが,良くなる気配はなく,2羽とも亡くなりました。
解剖検査の結果,頭蓋骨が陥没していたことが判りました。
注射や安静では治せない,重い症状だったのです。
衝突による症例は,回復させるのがとても難しく,
残念ながら命を落とすことの方が多いです。
衝突事故を減らすには,衝突させない工夫をする,これに尽きます。
窓ガラスにぶつかる野鳥は多く,特に小鳥が被害に遭います。
外の景色がガラスに映り込んでいることに気づかず,
猛スピードで突進するからです。
カーテンをかけたり,すりガラスシートを貼ったりすれば,映り込みがかなり減り,野鳥の衝突防止に役立つと思います。
カーテンをしない窓を外から撮影しました。まるで鏡のようです。
カーテンをつけると,こんな感じ。
すりガラスシートをつけると,そこだけ映り込みがなくなっています。
皆様のご協力をぜひともお願いします。
救護センター担当 吉川