救護センターブログブログ

2020年2月17日(月)放野!

今年に入ってからの放野率は8割。
持ち込まれた数が少ないというのもあるのですが,
軽傷の野鳥が多く,鳥にもスタッフにも嬉しい結果となっています。

そろそろ放野かな~と思う判断材料はいくつかあります。
例えば体重。
ケガをして動けなくなってしまうとエサが捕れず,見る見るうちに痩せていきます。
ガリガリだったのが,その鳥の標準的な体重まで戻っていれば,
回復してきたと判断できます。
 体重測定は大事です。

おおむね鳥は高い所に止まりたがります。
高いと言っても,救護センターのケージでは限りがありますが
それでも一番高い所に設置した止まり木にいると,
鳥らしくなったなぁと感慨深いものです。
 
「高い所からごめんあそばせ」

飛び方にも注目しています。
ひざ丈よりも低い位置の枝に止まるのにも四苦八苦していたのが,
高い枝にひょいと飛び乗ったり,旋回飛行できるようになってきたら,
いよいよ放野を視野に入れて調整していきます。
 ブレまくり…

人への警戒心も大切です。
しんどくて抵抗する気力がないと,飼い鳥のように人に懐く鳥がいます。
本当は懐いているわけではないので,元気を取り戻すと近寄ることはありません。

思えば数年前。
「昨日まで手に乗ってくれたのに…」と未練たらたらの私を残して,
ツツドリが離れていったことがありました。
でも,これでいいのだ!(ちょっと寂しかったけれど)

水鳥の場合は,水に浮かぶ状態も観察しています。
治療期間に思うように羽繕いできなかったカモを水槽に入れると,
必ずと言っていいほど体が沈みます。
なかには,かろうじて浮いているぐらいのカモもいます。
羽繕いを繰り返すうちに,日に日に浮かんでくるので,
鳥ってすごいなぁと感心します。
 沈みそう…

放野の大前提は,ケガや病気が治っていることです。
しかし,後遺症で片翼が下がっていたり,体羽が抜けて生えるまでに時間がかかりそうなこともあります。
保護を続けると,かえって衰弱させてしまう場合も。
そんな時は,鳥の生命力に望みを託して放野します。

放野した鳥たちのその後は,追跡調査をしていないのでわかりませんが,生き延びて次の世代に命をつなげたか,他の動物の命の糧になったか,どちらにしても命はめぐり無駄にはならなかったのではと思います。

                               救護センタースタッフ 吉川