救護センターブログブログ

2019年11月14日(木)大水薙鳥


2年ぶりにオオミズナギドリが来ました。
舞鶴市の冠島に繁殖地があり,京都府の府鳥に指定されている海鳥です。
この鳥が来ると,いつにも増して気合いが入るというか,緊張感が高まるというか,
衰弱との戦いに挑む臨戦態勢に入ります。

オオミズナギドリは地面からは飛び立てない鳥です。
全長48センチに対して翼開長が120センチもある長い翼は,
海上で風をとらえて滑空するのに特化した翼です。
南の国へ移動するときに,台風などに巻き込まれて地面に降りてしまうと,
長い翼がつっかえて,飛び立てなくなります。
地面でじっとするしかないのです。


救護センターに運ばれてくるオオミズナギドリたちは不思議と,
動物に襲われることもなく,交通事故に遭うこともなく,
ほとんどが今すぐにでも放野できる状態です。
しかし,ここは海から離れているため放野の手続きに時間がかかり,
保護している間に衰弱して亡くなる子もいるので,毎回ヒヤヒヤします。
 

というのも,オオミズナギドリは置き餌を食べないので,
強制的に食べさせないといけないからです。

捕まえて,ガッチリ確保して,口を開けて,魚を喉の奥に突っ込む。
これを繰り返すのですが,栄養も量も十分ではないでしょうし,
何といってもストレスを与え過ぎてしまいますね。


しかも誤って気管に魚を入れると窒息するので,細心の注意が必要です。
時に吐き戻すこともあり,保護している間は気が気ではありません。

今回は,まだ元気なうちに何とか放野できて良かったです。
成鳥が渡った後に,幼鳥の渡りが始まるので,まだまだ気は抜けません。

                               救護センタースタッフ 吉川