救護センターブログブログ
2019年6月16日(日)野鳥保護のために私たちにできること(4)後編
野鳥保護のために私たちにできることは何なのか。
4回シリーズの最終回の後編は,「巣内ビナの誤認救護を防ぐには」です。
前回は巣立ちビナでしたが,今回は巣立ち前のヒナ,巣内ビナです。
巣内ビナは,生まれたばかりでまだ羽毛が生えていなかったり,
鞘にくるまれたトゲトゲの羽に覆われていたり。
まだ羽が生え揃っていないヒナが地上にいたら,どうしたらいいでしょう。
ツバメなら,巣の場所がわかるので,そこに戻すことができます。
できるだけ,エサを食べさせてから戻してください。
エサをもらおうと身を乗り出し,兄弟に押し出されて落ちるので
空腹のまま巣に戻すと,また落ちてしまいます。
エサは,ミルワームやコオロギなどが適していますが,
ぬるま湯でふやかしたドッグフードやキャットフードでも大丈夫です。
巣がどこにあるか分からなければ,ヒナを戻すことはできません。
残酷に聞こえるかもしれませんが,そのままにするしか方法はありません。
巣に戻せないヒナは拾わないでください。
「見殺しにするのか!」とよく聞かれますが,巣に戻せないなら仕方ありません。
自然界で普通に起こることに対して,人が深く関わるべきではないからです。
一生懸命に生きようとする健気なヒナを助けたい,
可哀そうだから手を差し伸べたいという気持ちは,
人ならば誰しもが抱く感情です。
しかし,だからといって,人がヒナを育てると,どうなるか考えてみてください。
野鳥のヒナは飼い鳥ではありません。外の世界で暮らしていくのです。
人に育てられたヒナは,
親鳥から学ぶはずだった大切なことを何一つ学べないままです。
世間知らずで,外に出たらすぐに命を落とすことになるでしょう。
巣に戻せないヒナは,助けることができません。
救いの手を差し伸べたつもりが,つらく悲しい結果をもたらします。
どんなに可哀そうでも,どんなに心苦しくても,
巣に戻せないのなら,ヒナを拾わないでください。
皆様のご理解とご協力をお願いします。
救護センタースタッフ 吉川