救護センターブログブログ

2019年6月11日(火)野鳥保護のために私たちにできること(3)

救護センターに持ち込まれる野鳥は
人の営みや行為が原因となっていることが多く
人がほんの少し工夫や気遣いをすれば
防げたかもしれないと思うことがあります。
野鳥保護のために私たちにできることは何なのか,
4回シリーズの第3回は「放置された釣り糸や釣り針による被害を防ぐには」です。

釣り糸に絡まったり,釣り針を飲み込んだ水鳥が持ち込まれるケースは,
年間に1~2件あります。
窓ガラスへの衝突事故に比べれば,はるかに少ない件数ですが,
1件でもあるということに事の重大さが見て取れます。

ダイサギが持ち込まれたケースです。
脚や体に釣り糸がぐるぐる巻きに食い込んでいました。
(あまりの悲惨さに気が動転し,写真を撮り忘れました)
ハサミで糸を切っては外し,全部取り除いたと思ったのに,
なかなか外れない糸がありました。
どこに引っかかっているのだろうと糸をたどっていくと,
わき腹にルアーが付いていて,そこから糸が出ていました。

そうです。この針が,わき腹に食い込んでいたのです。

釣り針を飲んだマガモも持ち込まれました。
水草と一緒に釣り針を飲み込んだのでしょう。
翌朝には亡くなっていました。
 釣り針が食道に引っかかっています。


                  先の尖った2cmの針でした。

川や池は水鳥たちの生活圏でもあります。
エサを食べたり,休んだり,羽繕いをしたりと
水辺を行ったり来たりして過ごしています。
  

そんな水辺に,釣り糸があることに気づかず
脚や翼が引っかかってしまったら,どうなるでしょう?
うまく難を逃れる鳥もいるでしょうけれど,
そこから逃れようとして動き回り,糸が絡みに絡まって身動きが取れなくなる鳥もいるのです。
釣り糸や釣り針を回収していたら,こんなことにはなっていなかったのに。

回収するのが難しくて,あきらめて放置したのでしょうか。
面倒くさいから,そのままにしたのでしょうか。
大した量のゴミではないから,捨てて帰ったのでしょうか。

水辺には鳥たちもいることを知ってください。
一部の不行き届きな人のせいで,命を落とす鳥たちがいることを知ってください。

釣り糸や釣り針の回収を徹底すれば,
人も鳥も安心して水辺を利用できるようになると思います。
持ってきたものは持ち帰る,ゴミを捨てて帰らない,
この姿勢が野鳥保護につながっていくはずです。

                              救護センタースタッフ 吉川