救護センターブログブログ

2018年6月26日(火)ヒナを連れて帰ってはダメ!


             チョウゲンボウの巣立ちビナ

「いけないって分かっているんですけど,飛べないからほっとけなくて,
ヒナを連れてきてしまって…」というお問い合わせをよくいただきます。

確かに,雨に打たれたらヒナは衰弱して死んでしまうかもしれない。
カラスやヘビや猫に襲われて,食べられるかもしれない。
かわいそうだから何とかしてあげたい。
か弱く小さな存在を慈しむ気持ちは,人ならば誰しもが持つものです。

でも,だからといって,人がヒナを育てたらどうなるでしょう。
親鳥が近くにいるかもしれないのに,引き離したらどうなるでしょう。
エサの捕り方も知らない。天敵から身を守る方法も知らない。
生きていく術を知らないまま人に育てられた鳥もまた,
かわいそうではありませんか?


            ツバメの巣立ちビナ

鳥の世界は毎日が生存競争です。
生きていくために鳥が鳥を食べることもあります。
目の前にいる可愛いヒナが犠牲になるかも,と思うと辛いでしょうけれど
そのヒナを命の糧にして生きていく鳥もいるのです。

ヒナが犠牲になることを前提に書きましたが
独りぼっちだと思っていたら親鳥がそばにいた,ということも大いにあります。

親鳥に安全な場所へと誘導され,エサを運んでもらい
数日後にはちゃんと飛べるようになり
生きていくために必要な事柄を色々と学び,やがて一人前の若鳥に成長。
という未来も描けます。

ヒナの幸せを願うなら,飛べずにウロウロしていても,
そっとしてあげてくださいね。
どんなにかわいそうに思っても,
決して,絶対に,ヒナを連れて帰らないようお願いします。

                               救護センタースタッフ 吉川