救護センターブログブログ
2017年6月2日(金)ヒナを拾わないで!
人間の世界では,道で知らない幼子を見かけても
おぼつかない足取りだから可哀想と
家に連れて帰ることはありませんよね。
鳥の世界でも同じです。
ところが,飛べないヒナを見かけた人の中には
「可哀想に。助けなければ…」と
家に連れて帰ってしまう人がいます。
実は,これは鳥のヒナを誘拐しているのと同じで,
してはいけない事なのです。
鳥のヒナには「巣立ち」という時期があり,
巣から出て数日は,うまく飛ぶことができません。
地面をピョンピョンしたり,歩いたりしています。
この時期にヒナは,餌の捕り方や天敵など
生きていくうえで必要なことを親鳥から学びます。
もしヒナを連れて帰り,人の手で育ててしまうと
そのヒナは野生で生きていけなくなってしまうのです。
助けたつもりだったのに,ヒナを親鳥から引き離してしまったことになります。
親鳥がそばにいないのは,ヒナのために餌をとりに行っているのです。
まだ飛べないけれど巣立ちしたヒナを,草むらに隠したり,
人目につかないところに誘導し,親鳥は餌をとりにその場を離れます。
残されたヒナは迷子でもなく,捨てられたわけでもありません。
親鳥の帰りをじっと待っているのです。
1羽でいるヒナが可哀想だと思ったとしても
そっとそのままにしてあげてください。
親鳥は近くにいて,あなたがヒナのそばから離れるのを待っているのです。
あなたが親切な人なのか,優しい人なのかは鳥にはわかりません。
鳥にとって人という存在は,とても怖い天敵なのです。
救護センタースタッフ 吉川