救護センターブログブログ
2016年11月3日(木)君の名は…
同定が難しい鳥が持ち込まれました。
夏鳥のツツドリです。
カッコウ科のカッコウ,ツツドリ,ホトトギスは外見がよく似ています。
お腹の縞模様の太さ,眼の色(虹彩),体の大きさなどから見分けます。
オスなら鳴き声を聞けば,すぐに違いが分かります。
ツツドリはポポ,ポポ,ポポと実に規則正しく鳴きます。
私が初めて山の中でその声を聞いたときは,
害獣除けの音波でも出しているのだろうかと思ったほど,機械的な響きでした。
私にとってツツドリは「声はすれども姿は見えず ほんにお前は屁のような」鳥で,
一度もその姿を見たことはありませんでした。
こんな顔をしているんですね。
(下くちばしは怪我のため欠けています。)
鼻の穴にポッチリが付いていて,口の中は真っ赤です。
目つきの悪いところがふてぶてしくて,何とも愛らしい鳥です。
足にも特徴があり,指が前後に2本ずつ付いています。
対趾足(たいしそく)といいます。
保護されて数日は,野鳥にはありえない手乗りツツドリでした。
治療を待つ間も手に乗ったままです。
どうしたもんじゃろか…
「飛ばぬなら飛ばせてみようツツドリ」を試してみることにしました。
初めは手に乗って羽ばたくだけでした。
しばらくすると何度もためらいながら,近くの低い枝に飛び移れるようになり,
やがて少し遠くまで飛べるようになり,旋回もできるようになりました。
特訓一日目終了。明日も頑張ろう~♪と思っていたら,
一夜にして手の届かない存在に…。あっさりと手乗りを卒業していました。
野鳥らしく警戒心も芽生え,
低い位置の止まり木にいたのが,中段になり,
あっという間に上段が定位置になりました。
数日前に放野を終え,ツツドリが南の国へ無事にたどり着くのを祈るばかりです。
救護センタースタッフ 吉川