救護センターブログブログ

2014年10月23日(木)ヒナが巣から落ちてしまったら

巣から落ちてしまったツバメのヒナの相談が例年あります。
野鳥のヒナは巣立ちしてから飛び方や餌のとり方,外敵からの身の守り方など,生きていくうえで必要不可欠な様々なことを親鳥に学び,独り立ちしていきます。
親鳥に学ぶこれらのことは,人から教えることができないものであるため,この機会を奪ってしまうことは,野生で生きるうえで大きなリスクになると感じています。
その後の生活を考えると,親鳥に返すことが一番だと考えています。

そのため,ツバメのヒナが巣から落ちてしまったという相談には,巣に戻してもらうようにお願いしています。
ところで,「人の臭いが付くと,親鳥は絶対に面倒を見ない」と耳にすることがありますが,本当でしょうか?

今年同じ相談をして,巣に戻してもらった方からハガキをいただきました。
巣に戻したツバメのヒナは,兄弟より身体の小さい個体だったそうですが,無事に巣立ったという連絡でした。
巣から落ちてしまったヒナや誤認救護の巣立ちビナは,巣や元いた場所に戻すようにお願いしてきましたが,その後どうなったかを聞くことは,なかなかないため,貴重な情報です。

今回のことからも,「人の臭いが付くと,親鳥は絶対に面倒を見ない」とは言い切れません。
人の臭いが付いてしまったからと諦めず,親鳥に戻す努力をしてあげましょう。

巣に戻すときの注意
 ・カラスが周りに来ていないことを確認する
 ・親鳥を刺激しないように,巣を離れるタイミングを見計らって,ヒナを巣に戻す
 ・巣に戻したら,すぐに巣から離れてあげる
 ・親鳥が巣に戻るかの確認は,十分に距離をとった所から隠れて行う

来年ツバメのヒナが落ちていたら,以上のことに気を付けて巣に戻してあげて下さい。
巣立ったツバメたち,強く生きて欲しいものです。


宇治川のツバメの塒での写真

救護センタースタッフ 森本