救護センターブログブログ

2014年2月5日(水)カルガモ,〇の機能の回復

ブログ「安静の難しさ」で登場した,カルガモのお話です。
治療が終わり,翼の羽ばたきを確認すると,とてもいい感じ!
よし!!早いうちに野生に帰そう!!・・・と,そう上手くはいきません。

前回紹介した入院では,すぐに帰せない問題があります。
何が問題になるでしょう!?
この写真にその問題が写っています。

・・・実は今,水掻きでバタバタと,沈まないように頑張っているところなのです。
尾羽を見てもらうと,大きく広げてびっちゃりとプールに浸かっています。
こうしないとバランスが取れないようです。
よく見ると,身体も半分沈んでいます。

入院中狭い環境での飼育のため,どうしても糞や餌で羽が汚れてしまいます。
汚れた羽は水をはじかなくなり,羽が水を吸い込んでしまうため,水に浮くことができなくなります。
また,体温を保つための保温の機能が使えず,体温を奪われてしまいます。

野生に帰るリハビリの一つとして,汚れた羽をきれいにさせます。
水浴びで汚れを落とし,羽づくろいで羽を整えてもらいます。
1日ではきれいにならず,しばらくは羽に水を染み込ませながらの水浴びが続きました。

3日後の写真です。
水掻きでバタバタしなくなりましたが,尾羽を水面につけてバランスをとっています。
しばらくすると,尾羽は沈んでしまいました。

さらに5日後の写真です。
水面に尾羽を出しても平気で浮いています。
これで,沈む心配がなくなりました。

水鳥などの救護では,今回のような羽の機能の回復を行ってから野生に帰しています。

追記:このカルガモは11月に放鳥されました。

救護センタースタッフ 森本